記事(一部抜粋):2013年2月号掲載

経 済

中小企業を食い物にする官民ファンドの恐ろしい実態

【証券マンオフレコ座談会】

(前略)
A 官民ファンドの設立は円滑化法の期限切れが最大の理由にされているけど、円滑化法を、企業側に利用しているという感覚がないケースが結構ある。
B 書面での契約じゃないの?
A 先日、ある経営者に質したところ、「円滑化法を利用しているという感覚はない。書面で約定返済の停止、もしくは猶予してもらった場合にどうなるのか、何をもって円滑化法を利用していることになるのかはっきりしない。うちは金利引き下げの要求はしたが書面にはしてない」と言ってた。
B そのケースではどっちなの?
A たぶん、円滑化法を利用している側に入っていると思う。
B 企業サイドに利用している感覚が全くないのに?
A 金融庁の指導自体が、中小企業の再生は二の次で、円滑化法の利用件数の報告だけを求めるものだったらしい。その辺りを銀行の担当者に聞いてみたところ、「お客様に説明責任を要求することもできないので……」と半ば認めていたよ。
C 怖いのは、企業に利用している感覚がないのに、最終的に官民ファンドに債権が譲渡されること。
B そんなことってあるの?
C 金融庁が金融機関に円滑化法の利用件数の報告だけでなく、自己資本比率などの健全性を求めれば、官民ファンドに債権譲渡する金融機関が出てくる可能性がある。
B JALは上場会社だから、出資しても再上場で濡れ手で粟だったけど、官民ファンドが中小企業に出資したり、債権を買うメリットがあるのかな?
A 上場せずとも、最終的に中小企業の債権をまとめて、財閥に売るという手があるよ。
C 財閥としても不得手な部分の再基盤整備ができる。たとえば三菱のケースだと製造業は充実しているけど、それを販売するスーパーなどの流通分野が見劣りする。
B でもコンビニ大手のローソンは三菱系だよ。
A 経営危機に乗じて三菱商事が掌中に収めたもので、元々はダイエー傘下。ローソンの新浪社長が、首相直轄の「産業競争力会議」のメンバーに選ばれたのは興味深い。
B 今回の日本経済再生本部の中にできた有識者会議だよね。
C 安倍は三菱に近いから仕方がないんじゃないの。小、中、高、大学とすべて三菱創業者一族の岩崎小弥太が創立に関わった成蹊学園で学んだし、実兄の寛信は三菱商事の執行役員なんだからさ。
A 企業再生支援機構の実質的執行役の瀬戸英雄弁護士は、ヤオハンやマイカルの管財人を務めた人物。両社共、経営破綻後にイオン傘下となった。
C イオンの筆頭株主は三菱商事だからね。いいんじゃないの、再生できるんだったら。(後略)

 

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