記事(一部抜粋):2012年12月掲載

経 済

飛び出すか、みずほの「負の遺産」

【情報源】

 みずほフィナンシャルグループの周辺が騒々しい。旧第一勧銀(DKB)と蜜月関係にあった小野グループの中核3社が粉飾の発覚で福井銀行から会社更生法を申し立てられる一方、旧富士銀行と旧DKBをめぐるスキャンダルを綴ったチャート図が出回るなど、みずほの「負の遺産」が再びクローズアップされている。
 小野グループといえば、代表の小野光太郎氏は福井県の長者番付7年連続トップという地元の名士で、自動車用アルミホイール製造やプラスチックレンズを中心とした一大コングロマリット。しかし90年代後半からは「DKBの不良債権の受け皿」として注目されるようになり、長崎屋傘下だったコンビニのサンクス(現サークルKサンクス)やニッセキハウス工業、寿工業など、DKBが抱えていた大型問題案件を次々と引き受ける一方、サンクスの転売では260億円もの利益を手中に収めるなどまさに持ちつ持たれつの関係だった。ところが2002年4月のみずほグループの誕生で蜜月関係は途絶え、その後ニッセキハウス工業と寿工業は倒産処理されている。今回発覚した過去10年にわたる粉飾決算は「DKB絡みの不良債権を隠蔽するためではないか」(金融関係者)との見方もある。
 その小野グループに、地元金融機関Aが不正融資をしていると告発する文書が出回っている。それによると利益相反行為にあたる融資額は約20億円、その一部は小野氏と昵懇の大物代議士Bに流れている可能性があるといい、事実であれば今後の金融庁や捜査当局の動きが注目される。
 みずほ銀行を舞台とした奇々怪々のチャート図も物議を醸している。こちらは旧富士、旧DKB双方のルートがあり、主役はみずほ銀行本店審査部の元行員O。年8%の高金利を餌に投資家から金を集めたり、経営コンサルタントM社や税務事務所Hなどが脱税指南役として暗躍。JRAの場外馬券売り場「ウィンズ新宿」が入居するビルの売買や大手出版G社の元オーナー一族の経営権を巡る不可解な動き、反社会的勢力への地上げ資金の提供など様々な輩が複雑に絡んでいる。某広域暴力団トップや十数年前の富士・東海銀行不正融資事件で登場した人物の名前もある。ただ、「みずほ内部、もしくは外部の関係者によって意図的に流された代物」(みずほ関係者)と見る向きもあり、事件化に結びつくかどうかは流動的だ。
 とはいえ、経営統合から10年を経ても、みずほ内部では確執が続き、「いまだに斉藤宏みずほコーポレート銀行元頭取、前田晃伸みずほフィナンシャル元社長人脈が人事権を握っている」(メガバンク幹部)となれば、来年4月のみずほコーポとみずほ銀行の合併を控え、今後もこの類のチャートや告発が飛び出してもおかしくない。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】