故・橋本龍太郎元首相の従兄で橋本明という人物がいる。共同通信の元記者で、ロサンゼルス支局長、国際局次長を経て、ジャパンビジネス広報センター総支配人、国際オリンピック委員会報道委員会委員などを歴任。今上天皇のご学友ということもあり、現在は主に「皇室ジャーナリスト」として文筆活動を続けている。『平成の天皇』(文芸春秋)『美智子さまの恋文』(新潮社)などの著書がある。
そんな橋本氏が、文筆活動のかたわら、いわゆる「投資会社」の代表を務めていることはあまり知られていない。「プリヴェ・キャピタル・ジャパン」というのがその会社である。同社は寄付行為の窓口にもなっているらしいが、事業の中心はあくまで投資業で、その対象は「FX(外為証拠金取引)」(同社から勧誘を受けたネットワーカー)だという。
この手の投資会社の場合、橋本氏のような由緒正しき御仁が代表に就くと、広告塔としての効果は絶大である。実際この会社、橋本氏の名声を活用して、相当積極的にカネ集めをしていると、このところ「一部筋」の間で話題になっている。
実はこの一部筋というのがくせ者で、いわゆるネットワーカーのことをいう。ネットワークビジネスを手がける人をここ数年、そう呼んでいるのだが、その手法や手口は、マルチ商法、ネズミ講といわれた昔年のそれとさほど変わりはないようだ。
実際にプリヴェ社から勧誘を受けたネットワーカーがこう言う。
「私たちが資金投資を繰り返しているのは確かです。ネットワーカーと呼ばれているのも否定しません。大切なおカネを少しでも利回りがいいところで回そうとするのは、誰だって同じでしょう。しかし、そうした気持ちが強すぎて、痛い思いをしている人が多いのも事実。実は私も痛い目にあった一人です。つい最近も、あるグループに騙されました。7月下旬に『読売新聞』が1面トップで報じた投資グループですよ」
読売が報じたのは、英国の公認スポーツ賭博業者「ブックメーカー」を使った投資で高配当をうたい、多額の出資金を集めた投資会社「スピーシー」(大阪市)。口コミで360億円を集めたが今年5月以降、会員への配当を中止し、解約にも応じていないとして、出資者の一部が返金を求めて集団訴訟を起こすという内容の記事だった(被害者の一部は8月末に同社を大阪地裁に提訴)。
ちなみに、読売の報道に先立ち本誌が7月号(6月29日発売)で「まるで第二のAIJ、カリスマ投資家は風前の灯」と報じたのも、そのグループである。
「配当どころか元金も返ってこない。まあ、騙されたほうが悪いのでしょうが、そんなときに突然、登場してきたのです。元首相の従弟が代表だというFXの会社、プリヴェ・キャピタル・ジャパンが」(前出ネットワーカー)。
(後略)