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破綻した日本振興銀行関連のフーディーズ(東京)が東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。同社は飲食店経営・飲食コンサルで事業を拡大してきたが、振興銀からの借入金が75億円まで膨張、同行の破綻後は資金繰りが悪化していた。振興銀関連倒産は、これまでにもメンズエステ大手のラ・パルレ(大証ヘラクレス)や事業者金融のNISグループ(東証2部)、旧ベンチャー・リンクのC&Iホールディングス、中小企業保証機構……と頻発しており、上場のN社、C社も倒産予備軍として取り沙汰されるなど、経営破綻から2年を経てもいまだに余波が続いている。
今後の注目は、フーディーズの子会社で飲食・英会話事業を手がけるジー・コミュニケーション(本社・名古屋、以下ジー社)の去就。ジー社は英会話学校のNOVA、ジオスの買収で一躍全国区となり、2009年に創業者が保有株をフーディーズへ売却。現在は、上場飲食チェーンのジー・テイスト、ジー・ネットワークス、さかいを傘下に約850店舗を展開している。今回のフーディーズの破綻について、ジー社は「独立した経営で業績への影響はない」とするが、第2位の株主であるNISグループもすでに倒産していることから、約7割の株式が事実上、宙に浮くことになる。
そこでスポンサー候補として浮上しているのが、フーディーズ買収に名乗りを上げていたとされる新興勢力のエムグラントフード・サービス(東京)。同社は、ステーキハンバーグ&サラダバー「けん」を主力に全国に700店舗を展開。郊外店に特化する差別化戦略と大手飲食チェーンの不採算店を「居抜き」で借用するビジネスモデルで急成長を遂げている。弱冠34歳の井戸実社長はメディアにも度々登場する外食業界の風雲児だが、一方で「風評被害を受けにくいイタリアン業態ヘのシフトや郊外店を主戦場とする井戸社長の戦略は、ジー社の店舗戦略とは異なる」(業界関係者)との見方もあり、先行きは不透明だ。(後略)