記事(一部抜粋):2012年8月掲載

連 載

【狙われるシルバー世代】山岡 俊介

マルチの手法でカネ集め、ファンド詐欺被害が再び急増

 相変わらず、高齢者のなけなしの老後資金を狙った詐欺商法が横行している。なかでも、昨年度から目立っているのが「ファンド型投資商品」を使った手口だ。
(中略)
 第1種は証券会社が大半で、今年5月末現在の届出業者数は308。第2種は1種よりハードルが低く、届出業者数は1286。
 その第2種のなかで資金量がトップクラスの「W社」(東京都渋谷区)が、詐欺を計画している事実を筆者は把握している。警鐘のため、以下にその詳細を報告する。
 W社はこの3〜4年ほどの間に約70億円を集めたが、代表者のI氏らは、今年6〜7月にさらに40億円ほど集めたうえで、その資金を持って海外に逃亡する計画を立てている。
 なぜ、筆者がそんなことを知っているかというと、I氏がある会社代表に相談を持ちかけた際、ぽろっとその計画を打ち明け、それがたまたまた筆者の耳に入ったからだ。
 読者のなかには「自身の犯罪計画を簡単に人に打ち明けるはずがない。眉唾の情報だ」と思う方が少なくないだろう。
 確かにそれが世間の常識というものだが、逆にいえば、罪の意識が低いそんな輩でも、ファンド業者として形式さえ整えれば人様の大切な資金を預かることができるということなのだ。
 調べてみるとこのI氏、30代後半のイケメンで、中学を卒業後、家出同然で上京し、新宿歌舞伎町のホストクラブで働きトップの成績を上げた人物だった。そして30代前半のとき、ホスト仲間と設立したのがW社。
 「ホスト時代のIは、金持ちのオバチャンをいかに騙してカネを引き出すかしか考えていなかった。いまも連日のように6本木界隈のキャバクラで豪遊している。ファンドも、まったく同じ発想から立ち上げたんです」(同郷の知人)
 現在のI氏は、もちろん社員の前ではそんなことはおくびにも出さない。筆者は7月某日、W社本社ビルの会議室で開催された営業マン向けセミナーに潜入した。(後略)

 

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