6月の「AKB選抜総選挙」は国政選挙さながら開票速報が生中継され、あのNHKも選挙結果をニュースで取り上げるに至って、AKB48はいまや立派な社会現象となった。マスコミではAKBバッシングは皆無、それどころか芸能界からメディアまで一丸となってブームを盛り上げている。「出版社には写真集の出版権を与えるなど各メディアにAKB利権をバラまく手法が功を奏している」(大手出版幹部)ことも見逃せない。仕切り役の電通も強力なバックアップ体制を敷いており、業界こぞってAKBマネーに群がる構図だ。
ところでAKBはあらゆる芸能プロに所属するアイドルの集合体だが、その運営管理を手がけるのがAKS(本社・東京)。代表の窪田康志氏は「秋元康氏をプロデューサーに抜擢したAKBの影の功労者」(芸能関係者)といわれる。
そのAKSに出資し、過半の役員を送り込んでいるのが名古屋に本社を構える大手パチンコメーカーの京楽産業.である。「ぱちんこ必殺仕事人」「ぱちんこ冬のソナタ」のヒットで知られ、2011年度の生産・販売実績は業界トップ級。年商は1000億円を超え、純資産700億円を誇る優良企業で、09年には社長の榎本善紀氏が女優の伊東美咲と結婚、話題となったのは記憶に新しい。
京楽の参入の発端は、AKB48の姉妹ユニットで名古屋を本拠とするSKE48。同社が所有する名古屋・栄の複合商業ビル「サンシャインサカエ」の集客のために、2階のライブハウスにSKEを出演させたところ大ブレイク。それをきっかけに京楽が主導権を握ったAKSがAKB、SKEのほかHKT48(博多)も手がけ、NMB48(大阪)も吉本興業との共同出資会社であるKYORAKU吉本.ホールディングスが運営するなど、いまや京楽が「AKBビジネス」の屋台骨を支えるまでになっている。
それでは京楽の狙いは何か。同社は業界大手とはいえ、パチンコホールの淘汰が進み業績は頭打ち傾向にある。しかも「多額の投資もあって有利子負債が現預金を上回りつつあり、財務も盤石とは言い難い」(金融関係者)。そこで自前のコンテンツノウハウを構築、総合エンターテインメント企業への脱皮を狙っていることは容易に察しがつく。吉本興業の第3位の大株主でもある京楽の今後の戦略から目が離せない。
芸能界といえば、暴力団排除条例の施行後もいまだ反社会的勢力の影は払拭されていない。たとえば、「超人気グループEのツアーは某広域暴力団関係者が全てを仕切っている」(警察関係者)。そもそもEが所属する大手プロダクションに「暴力団関係者が2人も役員として入っている」(大手芸能プロ)ことをみても、その癒着の根は想像以上に深い。(後略)