記事(一部抜粋):2012年7月掲載

政 治

社会党の轍をふむ民主党、消滅へのカウントダウン

【霞が関コンフィデンシャル】

(前略)
 今国会を9月8日まで延長することも決まった。79日間という民主党の大幅延長案を自民党があっさり飲んだことから、野田氏と谷垣氏の間に「関連法案成立後に解散」の密約があるともいわれる。9月8日という会期は、民主党の代表選、自民党の総裁選の直前。そのため代表選、総裁選を前倒し、新しい顔ぶれによる総選挙という日程が視野に入っているというのだ。
 そこで連想されるのが2005年の郵政解散・総選挙。8月8日に解散し、9月に投票となった。それに倣えば、今回も8月上旬に国会を解散、9月上旬に総選挙という日程となる。この日程なら、大阪維新の会やみんなの党などに選挙準備の時間を与えないで済むため、民・自・公は、たとえ議席を減らしはしても、第1極の立場を維持することができるというのだ。
 自民党が、関連法案が成立した暁にはただちに衆議院を解散して総選挙に踏み切るよう迫るのは確実だろう。また、赤字国債発行に必要な公債発行特例法案も成立していないため、昨年と同様、特例法案の成立と引き換えに早期解散を迫る可能性もある。
 ただ、自民党も一枚岩になりきれていない。党内には増税慎重派がいるほか、3党の修正協議でマニフェスト政策の撤回に持ち込めなかったことや、解散が遠のいていることで、民主党に譲歩しすぎだとの批判が相次いでいる。党内に渦巻く不満を解消するため、自民党執行部は、いったいどのような解散戦略を描いているのか。
 民主党は今回、マニフェストに書かれていない増税のために、マニフェストに書かれていた社会保障をほぼ放棄した。いくら個々の民主党議員が「マニフェストは捨てていない」と言い繕っても、増税との扱いの差は歴然としている。この民主党の豹変ぶりは、かつての社会党とそっくりである。
 思い起こせば1997年の消費税増税を決定したのは村山内閣。自民党、社会党、さきがけの連立政権である。社会党はこの連立で、安保条約肯定、原発肯定、非武装中立の放棄など、従来の政策を放棄させられた。しかも消費税増税に加担。旧来の支持者から総スカンをくらったことで、最終的には消えてなくなった。
 今の民主党も、社会保障をほぼ放棄し、消費税増税に加担、森本敏防衛大臣を入閣させるなど安全保障面でも自公との差がなくなった。原発再稼働もなし崩し的に容認し、これも自公と同じ。党の根幹政策を転換したことで、民主党の「社会党化」は急速に進んだということができる。おそらく民主党は、社会党同様、早晩消滅するだろう。
 そうなれば、消費税増税、原発再稼働のあり方、郵政民営化などで、今の民・自・公の政策に納得できない民意の受け皿部分がぽっかり空いている。民・自・公と違う政策を支持する有権者は半数程度いるだろう。(後略)

 

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