記事(一部抜粋):2012年5月掲載

社会・文化

新千歳空港の隣接地が中国に買い占められる

【ズームイン】

「尖閣諸島を東京都で買う。文句あるか?」
 石原慎太郎・東京都知事が投じた一石が波紋を広げているが、この騒ぎの裏で中国への「ランド・セル」(LAND SELL)が密かに進行している。
 ここに、一通の契約書と、それに付帯する「土地利用計画案」の綴りがある。
 契約書は、北海道千歳市の養鶏業者であるT社を「甲」、中国とのビジネス仲介業務などを手がけるH社(小樽市)を「乙」として、今年初めに締結された。内容はT社が所有する千歳市美々の土地の売買に関するもので、売り手はT社、買い手は「H社が認めた別の購入先」。通常の土地取引は、売り手と買い手がそれぞれ甲、乙となるへが、この取引では、H社が「本当の買い手」の橋渡し役になっている。
「H社があたかも当事者のごとく名前を出しているが、それはつまり、本当の買い手に、すんなりその名を出せない事情があるということでしょう」
 そう語るのはこの取引にかかわるさる関係者だ。
「H社は、中国のエージェントといわれるほど、中国とつながりの強い会社で、代表のI氏は中国通としてメディアに登場する一方、地元・小樽の活性化のために中国から人やカネを呼び込もうと積極的に活動しています。今回の土地の本当の買い手も、中国企業。つまり中国政府そのものとみられています」
 ここで問題となるのは、売却される土地の「性質」だろう。中国の小金持ちが都心のワンルームマンションを買うといったケースであれば問題はないが、I氏には、中国企業が山林(森林資源と水源)を購入した際に橋渡し役を果たした「実績」がある。
 実は千歳市の土地は、北海道の空の玄関口、新千歳空港の滑走路のすぐ脇にある。約57万8000平方メートルと広大で、空港への進入路となっている国道を挟んで空港と接している。起伏もなく、平行四辺形の、いかにも使い勝手のよさそうな土地だ。
 ちなみに「土地利用計画案」には、大規模な物流センター、コンテナヤード、ショッピングモールから温泉施設を建設するプランが描かれている。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】