復興特需に沸くゼネコン業界で、中堅ゼネコンX社が振り出した多額の手形が金融業者の間に出回り、物議をかもしている。昨年12月30日振り出しの5月1日期日、額面はなんと5億円。決済銀行はみずほコーポレート銀行本店営業部で、割引業者へ手形を持ち込んだのは金融ブローカーだという。
偽造手形でないことは確認できているが、いくつか不可解なところがある。手形の宛先はX社から工事を請け負ったK社(大阪)だが、「年商12億円足らずにもかかわらず、今回X社から8億円を超える工事を受注したのが不自然」(ゼネコン幹部)。しかも、K社はこれまでに取引先への支払いが遅れたり、最近ではK社自身が数億円の手形の割引を打診している。
さらに気になるのが、20社もの連鎖倒産を引き起こした融通手形事件の主役、生コン卸の藤成商事(破産、負債120億円、大阪)の手形を割引業者へ持ち込んでいた業者が、今度はK社振り出しの手形を持ち込んでいることだ。なんとも不可解な今回の手形騒動、真相はいまだヤブの中である。
2月号の本欄で山口組弘道会系大物フロント企業と指摘した砕石販売大手A社がスポンサーとされる三重県の日刊紙『伊勢新聞』の経営危機が深刻化している。「A社が反社会的勢力として摘発され身売りを強いられたことで資金供給が途絶え、2月分の幹部の給料が未払いになった」(地元マスコミ関係者)という。その後は急場の資金調達でしのいでいるようだが、部数の低迷で債務超過状態にあるだけに、破綻の懸念は拭えない。もはや、頼みの綱は三重県や地元大手企業程度しか見当たらない。
弘道会といえば、上場の映像関連G社に上納金疑惑が浮上している。これまでも創業家が絡んだ内紛などドタバタ劇が繰り返されてきたG社だが、今度は「創業家とつながりの深いH社が弘道会へ毎月2500万円もの上納金を納めている」(警察関係者)との噂が飛び交っている。警察も情報収集に乗り出しているようで、事実であれば暴排条例違反どころか、利益供与などの一大スキャンダルに発展する可能性もある。
わが国の製造業の崩壊に歯止めがかからないなか、半導体システムLSI最大手のルネサスエレクトロニクスが迷走している。同社は日立製作所、三菱電機、日本電気の半導体事業の統合会社だが、2012年3月期は570億円の連結最終赤字の見込みで慢性的な赤字体質に陥っている。借入金は2000億円を超え、貸付金も約975億円に達し、「このままでは債務超過転落の可能性もある」(メガバンク幹部)。資金繰りの悪化を裏づけるように、取引先に支払いの延期を要請、すでにルネサス向け債権の債務者区分を「要注意先」へ格下げしている取引銀行もある。(後略)