記事(一部抜粋):2012年4月掲載

政 治

「話し合い解散」が視野に 維新の会は風を起こせるか

【霞が関コンフィデンシャル】

(前略)
 橋下が主張する「大阪都構想」を実現するためには、地方自治法の改正(ないし特例を定める立法)が必要だが、中央政界の各政党は、この大阪都構想に前向きである。
 みんなの党は3月9日に正式に法案を参議院に提出し、他の党でも独自の法案を準備する動きが進んでいる。自民党は3月、「大都市問題に対する検討プロジェクトチーム」で要綱案をまとめている。
 大阪都構想の中身はこれから検討されていくが、そのためにどのような手続きが必要なのかを定めるのが法改正の中身となる。
 ふつうに考えれば、大阪都のための「協議会」がつくられ、そこでさまざまな構想が打ち出される。
 つまり、その構想に対して必要な法改正をおこなうということだから、「協議会」で検討する事項や総務省との関係をどう考えるかによって、法案の細部のつくり方が違ってくる。
 それでは、自民党の案(まだ要綱しか出されていない)とみんなの党の法案を比較してみよう。
 自民党の案は、一応は議員立法の体裁だが、実際には官僚がつくったような内容だ。官僚がどのように法案を骨抜きにし、自分たちの利益になる方向に持っていくのかがわかるような中身になっている。
 自民党の案では、協議会での検討について、「総務省との事前協議をしてから結論を得る」となっている。これに対し、みんなの党の法案は「協議会で結論を得る」と書かれている。自民党案だと、総務省との事前協議が総務省の意向に沿わなければ、いつまで経っても法改正は進まない。地方分権を勝手にやらせたくない総務省官僚が、是非入れたい条項だ。
 協議会で検討する事項について、自民党案は、「事務配分」「財政調整」などとなっているが、みんなの党案は「事務配分」「財源配分」「財政調整」となっている。財源配分、つまり地方税をどのように都と区が配分するかが、みんなの党案には含まれているが、自民党案にはないわけだ。これも権限を手放したくない総務省の意向だ。
 また、自民党案には「政令委任」が多いが、みんなの党はほとんどない。中央省庁にとって政令は権限を手に入れる便利な道具だ。「知事は〇〇をできる」を「知事は、政令に定めるところにより〇〇をできる」と「政令」を入れることで、知事の権限を「政令に従った場合」のみに制限し、骨抜きにする。戦略は細部に宿るのだ。(後略)

 

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