記事(一部抜粋):2012年3月掲載

社会・文化

合法ハーブの元締めは在米日本人

違法成分の入った強精剤を堂々と販売

 吸引すると麻薬などに似た作用がある「合法ハーブ」。若者を中心に使用や影響の広がりが懸念される一方、販売が容易で、高利益が期待できるとあって取り扱う業者は後を絶たない。
 ここ数年、業者の摘発が相次ぎ、昨年は「摘発ラッシュ」ともいえる様相を呈した。今年に入っても同様で、摘発や健康被害のニュースが流れない日はないほど。換言すれば、合法ハーブがそれだけ蔓延、定着してしまったということだ。
 実際、「合法ハーブ」をインターネットで検索すれば、合法ハーブを扱う専門店がぞろぞろ出てくる。まさに百花繚乱といった趣である。
 そもそも合法ハーブとは何か。東京都福祉保健局は次のように定義している。
《麻薬、向精神薬又は覚せい剤には指定されていないが、それらと類似の有害性が疑われる物質をいう。乱用者の間では「合法ドラッグ」「合法ハーブ」「脱法ドラッグ」「脱法ハーブ」とも称され、主に「ヘッドショップ」と称する販売店舗、インターネット等で、芳香剤やお香と称して販売されている。都ではこれらの製品を「違法ドラッグ」と呼んでいる》(東京都のホームページ)
 要は、合法や脱法などと勝手に名づけているものの、「違法」な薬物ということだ。
(中略)
 実はこの合法ハーブ、もとい違法ドラッグを、海外から日本に、秘かに、そしてせっせと送っているいわば「元締め」と目されている人物がいる。
 当局もいまだその存在を把握していない元締めとは、米国・ニューメキシコ州アルバカーキ近くに存在するE社の代表で、Y・Kという日本人である。日本の国立大学の修士課程を経て博士号を取得したと自称しているが、真偽は定かでない。
 Y氏は現在、その違法ドラッグを、EDの改善に役立つ薬品、すなわち強精剤と称して販売している。その薬剤は、日本に送られるとパッケージを変えられ(タブレット=錠剤の場合は粉末に細かく砕かれ、別パッケージに封入される)、合法ハーブに化けてエンドユーザーに販売されているという。
 驚くべきことに、E社はFDA(米食品医薬品局)の認可を受けたとして、その「商品」を販売している(米国ではFDAの認可を受けないかぎり、食品や医薬品は原則として販売ができない)。しかし、その商品は違法ドラッグである。
 E社と取引のある業者が解説する。
 「これにはカラクリがあって、E社は、FDAの検査を受けるときに成分を変えているのです。それはアミノです。アミノは特に問題ない成分です。そして検査が終わり、無事、認可が出ると、そのアミノにエチルを加える。元はアミノと同等の成分ですから、結合など直ちにできる。そしてエチルアミノが成分として入り込んだ強精剤が、堂々とFDAの認可を通過したものとして日本に送られ、それが、こんどはパッケージングを変えられ、合法ハーブとして渋谷あたりのショップに出回るというわけです」(後略)

 

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