(前略)
A オリンパス事件についても、「損失飛ばし」に野村OBが何人も関わっているし、SECは朝日新聞のインタビュー記事直前の東電株の空売りと、6月6日の空売りの買い戻しの手口について徹底的に調査した方がいい。
B ダイハツのCMじゃないけど、「目立っているゾ。悪い意味で!」。それはともかく、オリンパスは上場を維持できるんだろうか?
C オリンパスが損失飛ばし商品だった「プリンストン債」を解約したのが1997年9月頃のこと。その理由をオリンパスは「97年3月に29億円購入したが、運用理論に理解できないところがあるため、半年後に急いで解約した。助かった。予感が的中した」と後にコメントした。しかし、今回のオリンパスのファンドを利用した飛ばしを見ると、舌の根の乾かぬうちにプリンストン債からファンドに飛ばしを移し替えた構図が見えてくる。だから長年にわたった粉飾決算ということになる。
B 粉飾決算なら上場廃止ということになるね。
A 通常ならそうなるはずなんだけど、今回は趣がちょっと違うみたいだ。
C 昨年11月25日に警視庁組織犯罪対策部3課(組対3課)は金融ブローカーの高橋利典容疑者を「偽計取引」で逮捕した。
B 東証2部に上場してた井上工業の架空増資に関わった容疑だったね。同社の元社長を含め、結局、合計7人が逮捕となった。
A 偽計取引なら会社の関係者だけでなく、金融ブローカーまで逮捕することができる。ところが粉飾決算で摘発すると、周辺者まで逮捕するのは難しい。
C 今回の井上工業の架空増資の捜査は、組対3とSECのタッグマッチといわれている。
C SECの委員長はたしか、元福岡高検検事長の佐渡賢一だったね。市場を歪めるような増資は許さない構えだとか。
A そう。だから大王製紙やオリンパス事件のような大きな事件の最中に、3年も前の井上工業事件を摘発したのだと思う。というのも、この3つの事件とも金融ブローカーらの人脈が点と線でつながっているからなんだ。
B 井上工業と大王製紙、それにオリンパス事件の人脈が?
C 井上工業の金融ブローカーらの黒幕というか金主は、大物のNと言われているね。
A 経営破綻した英会話教室のNOVAの株券流出でも名前が挙がるなど、経営不振の上場企業の私募増資(MSCB)には必ず金主として登場する。そして株価が乱高下する。佐渡は、このNを最終ターゲットとしているようだ。ところが、東京地検特捜部は乗り気ではないらしい。
C 乗り気じゃないというより、金主として金融ブローカーを手駒に使っているだけだから、摘発するのは難しいということじゃないの?
A 「一時的にしろ、企業に資金が入って助かっている以上、金主を摘発することはできない」と言っているらしい。(後略)