記事(一部抜粋):2011年9月掲載

社会・文化

暴力団幹部からも借金、杉浦太陽の「不肖の父」

【ズームイン】

 ここに1通の『公正証書』がある。《債務者杉浦三六(以下「乙」という)は、債権者K(以下「甲」という)に対し、乙が平成20年6月30日金銭消費貸借による金8000万円の支払い義務を負担することを承認し、これを以下の条項に従い支払うことを約束し、甲はこれを承諾した》
 3年前の9月に作成されたこの公正証書、債務者が債権者からカネを借り、それを返済することを約束するという、一見なんの変哲もない内容である。しかし内容はありきたりでも、当事者たちは平凡な一市民、というわけではない。
 債務者の杉浦三六なる人物は、いまや「理想の父親」などと持て囃されているタレント・杉浦太陽の実父。一方の債権者Kは、日本最大の暴力団・山口組の二次団体I組の若頭なのである。
 もちろん、有名人の父親が、現役の暴力団幹部から大枚を借りたからといって、それがただちに問題というわけではない。
 ヤクザが銀行や企業からカネを借りれば、「便宜供与」を受けたとして問題になろうが、このケースでは逆にヤクザがカネを貸しているのだ。しかも暴利をむしり取るわけではない。公正証書には《利息は無利息とする(略)遅延損害金はなしとする》とある。これではまるで、ヤクザが堅気に利益供与をしているようなものである。
 当事者であるI組の若頭Kがいう。
 「実は杉浦のオヤジには、これまでにも何度かカネを貸しとる。一部はまだ返済されとらん。なのに、なんでまた8000万円もの大金を貸してやったかいうと、杉浦本人がこう言いよったから。『息子の太陽と、辻希美(タレント、「モーニング娘。」の元メンバー)の結婚披露宴を、改めて大々的にやる。ご祝儀がたんまり入るんで、それで絶対に返せる』。それならというんで貸してやった。何に使うんだと聞いたら、『事業資金や』言うとった。で、念のために公正証書を巻いたんですわ」
 ところが案の定、杉浦はカネを借りた途端にドロン。Kが困りきった表情でいう。
 「本当に弱っとる。なんとか見つけ出してカネを返させなあかんのやが、首尾よく捜し出せたとしても、ワシらのような立場の者が、『こら、カネ返せ』とやったら、いくらこっちが正当でも、分が悪い」
 たしかに昨今の暴力団、それも山口組に対する当局の締めつけは、従前とは比べものにならないほど厳しくなっている。おいそれとは、貸金の回収にも動けないのが実情のようなのだ。(後略)

 

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