記事(一部抜粋):2011年7月掲載

経 済

震災不況につけ込む「パクリ屋」

【情報源】

(前略)
 老人ホームといえば、老人ホーム7施設を運営するA社の7頁にわたる国税、警察宛の告発文書が出回っている。介護ビジネスを食い物にしている実態が克明に綴られたもので、それによればA社は、老人ホームの建築費を水増し請求して建設会社B社から裏金を受け取り、そのB社は裏金づくりのために倒産企業の領収書や受領書を大量に買い漁っているという。ちなみにA社の代表(某大物男性歌手と同姓同名)は、老人ホームのフランチャイズ経営にも乗り出して医師などを対象に経営セミナーを開催、多額のロイヤリティを懐に収めているらしい。事実であれば、脱税や背任、業務上横領罪にあたり、大がかりな事件へと発展する可能性もある。
 大震災につけ込んだ振り込め詐欺や義援金詐欺が横行しているが、不況の嵐が吹き荒れるなか、ここにきて目立つのが「取り込み詐欺」。ワラをもすがる思いの中小企業の弱みにつけ込み、商品だけ受け取って代金を支払わない、いわゆる「パクリ屋」が跋扈している。全国を股にかけて取り込みを働くグループは、食品関連の卸業者をターゲットに新規取引をアプローチ、すでにかなりの被害が出ている。この詐欺グループ、「イオン商事」「伊勢丹物産」「松坂屋商事」「三越企画」「高島屋商事」といった有名大手流通もどきの社名を名乗って破格の取引条件を提示。別の高級商品専門のグループは「シャネル」など複数の高級海外ブランドを社名に掲げ、極度の販売不振に喘ぐ業者を狙い撃ちしている。
 詐欺グループは、代表や役員を頻繁に入れ替えて事務所も転々、巧みに実態を覆い隠す。扱う商品は、換金性の高い薄型テレビやパソコン、オフィス用品、金券など多岐にわたり、食品や農産物にも手を広げている。通常は少額の取引から食い込み、当初は代金を払って信用を勝ち取り、次第に取引額を吊り上げて「最終的に多額の取引を行ったところで行方をくらます」(金融ブローカー)のが常套手段だ。最近はインターネットの普及で手口はますます多様化、巧妙化。さらに「最初から多額の仕入れをして連絡を断つ荒手のグループも徘徊している」(金融関係者)という。(後略)

 

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