記事(一部抜粋):2011年6月掲載

経 済

中小零細企業を襲う淘汰の嵐

【情報源】

(前略)
 すでに「震災関連倒産」は100社を超え、阪神大震災時の3倍のペースで推移している。業種は旅館や旅行代理店から百貨店、外食、食品、部品メーカー、広告・イベント企画など幅広い。いまのところは直接被災した企業よりも間接的な被害による破綻が目立つ。震災がダメ押しになったケースが大半を占めており、「本番」は夏以降とみられている。
 そもそも、市場の縮小と供給過剰で多くの中小企業のビジネスモデルは崩壊しており、災害復旧貸付制度や震災不渡り猶予などの救済メニューも結局は先送り策にすぎない。それだけに今回の震災関連倒産は、394社発生した阪神大震災時の比ではなく、その結果、中小零細企業の淘汰の嵐がかつてない規模とスピードで吹き荒れることになりそうだ。
 製紙大手の日本製紙や三菱製紙、石油化学大手のDICや丸善石油化学の東北地区の工場損壊による深刻な紙・インキ不足が、新聞・雑誌業界を混乱に陥れているが、印刷業界も震災後20社以上が破綻、中小クラスの倒産ラッシュが起きている。広告の減少や競争激化で瀕死の状況だったところへ、紙・インキ不足と、さらなる広告自粛が追い打ちをかけた格好だ。
 倒産に至らずとも、支払条件の変更や金融機関へのリスケジュールを要請するケースは急増している。目立つのが、ムダな電力消費の象徴としてヤリ玉に上がったパチンコホール。東北に本社を構える業者のみならず、A社、B社など同地区に店舗を持つ年商1000億円クラスの業者が相次いで返済猶予や返済計画の見直しを要請している。
 外食、とくに居酒屋などの飲食チェーンも厳しい。常軌を逸した激安競争で体力をすり減らし青息吐息のところへ、自粛と急速な消費マインドの冷え込みが襲い客足が激減、資金繰りが軒並み悪化している。ジー・コミュニケーション傘下で宮城県を拠点に「平禄寿司」を展開するジー・テイスト(JASDAQ)が店舗の被災で致命傷を負ったほか、首都圏で急成長を遂げてきた上場飲食チェーンC社、D社(東証2部)やE社(JASDAQ)、さらに米大手投資ファンド傘下のF社が金融機関への支払延期やテナント料の減額を要請。法人需要の激減で昨年夏から資金繰りがタイトになっていた老舗高級中華料理G社も、再び取引先へ支援を要請している。(後略)

 

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