首相の菅直人が、東日本大震災復興に向けた第2次補正予算案の国会提出を八月まで先送りし、今国会を6月22日に早々と閉じる意向を示した。党内外に広がる「菅降ろし」への対抗手段とみられるが、この「横暴」に、超党派の「反菅」議連が続々と誕生、仏ドービル・サミット後の六月にも一気に大政局になる可能性が出てきた。
5月17日、超党派の「国難対処のために行動する『民主・自民』中堅若手議員連合」(民自連)の設立総会が開かれ、衆院当選5回以下の民主党議員87人と自民党22人の計109人が参加、会場となった衆院第1議員会館は議員たちの熱気であふれた。
呼びかけ人は、民主党が元国対委員長の樽床伸二、元官房副長官の松野頼久、前防衛大臣政務官の長島昭久ら、自民党は元総務相の菅義偉、党行政改革推進本部長代理の河野太郎ら。事実上の発起人代表である樽床は「両党の協力態勢がつくり上げられれば、この1年間は通年国会にし、あらゆる法案を整備すべきだ」と提案。菅義偉は「我々の世代はしがらみがなく、大胆な発想で問題に対処できる」とアピールした。
樽床は「反菅直人・非小沢一郎・世代交代」を標榜する、民主党中間派の代表格だ。「民自連」にはこの樽床グループのほか、前首相・鳩山由紀夫に近い松野、前外相・前原誠司グループの元官房副長官・古川元久、財務相・野田佳彦に近い長島、菅直人グループの衆院外務委員会理事・西村智奈美、そして小沢グループの前代表室長・奥村展三ら、あらゆるグループが参加。自民党からも副幹事長の柴山昌彦(町村派)、衆院決算監視委員長の新藤義孝(額賀派)、元官房長官の塩崎恭久(古賀派)、河野(麻生派)、そして無派閥の菅と、派閥を超えて参加している。
この民自連、4月下旬に松野と自民党の菅が接触し、それに樽床が参画して一気に具体化した。樽床らはサミット後の「6月政局」を見据え、発起人の人選、立ち上げのタイミングなどを測ってきた。視線の先にあるのは「大連立」である。
ただ、民自連に参加した議員の半数近くは反菅の急先鋒である小沢一郎に近く、参加者のなかには、小沢グループとの連携に否定的な議員も少なくない。その小沢系も一枚岩ではなく、17日に開かれた小沢支持の中堅・若手グループ「一新会」の会合では、小沢グループの立ち位置が議論になった。(後略)