記事(一部抜粋):2011年5月掲載

社会・文化

「みずほFG」は大丈夫なのか

システムトラブルだけではない「爆弾」も

 そもそもシステム障害の直接の原因は、東日本大震災の義援金を受け付ける口座での設定ミスだった。みずほ銀行の関係者がいう。
「被災地への義援金を受けつける口座を東京中央支店(旧冨士銀行本店)で一元管理しようとしたまではいいのですが、そこで初歩的なミスを犯してしまった。口座の種別を『個人』としてしまったのです。どの銀行でも、口座の種別は個人と法人で区別している。その口座で扱う振込件数の制限値の違いですが、いうまでもなく個人は法人に比べるとグッと低く設定されている。個人で設定された口座に、義援金が一気に振り込まれたため、システムがパンクしてしまったのです」
 東京中央支店でこの口座の設定を担当したのは女子行員だったという。むろん本人に悪気はなかったのだが、管理責任者は速やかに左遷させられたという。
 システムがマヒし、みずほ銀行に対する不満の声が満ちあふれるなか、当事者のみずほ銀行はもちろん、親会社のみずほFGでもてんやわんやの騒ぎになった。
「前田晃伸特別顧問が、自室を開放、そこに大きな円卓を据え、事態の収拾をはかるべく役員たちと協議をしていました。その円卓に現場の中間管理職を呼びつけては、『どうなっているんだ』と怒鳴り散らしていたようです」(同)
 前田氏といえば、みずほFG会長として、みずほグループの頂点に君臨した実力者。いまもグループ全体に隠然たる力を及ぼしている。
 もっとも、その前田氏に代表される「グループ長老」が、システムの抜本的な改革を先送りしてきたことが、今回の事故につながったという意見が、金融界ではむしろ多数派を占めている。
(中略)
 そんなみずほグループで、「今後大きな不祥事に発展するのではないか」と懸念されているのが、昨年末に起きた、みずほ銀行築地支店の事件だという。
《会社の売り上げを水増しした決算報告書を使って、みずほ銀行から融資金約五億円をだまし取ったとして、東京地検特捜部は1日、同行築地支店(東京都中央区)の営業担当課の課長代理だった武田広人容疑者(35歳)ら三人を詐欺容疑で逮捕した》(『読売新聞』10年12月1日付)と報じられた事件のことだが、注目されるのは、銀行の一支店でおきた事件に、わざわざ地検特捜部が乗り出していることだ。
「実は主犯の課長代理は、事件が発覚する前、銀行内で聞こえよがしに、『トップがジャブジャブ不正融資を繰り返しているのだから、支店の現場だって多少のことは許される』と話していました」
 と語るのは別のみずほ銀行関係者。なんでも行内では、この課長代理が口にしていたとされる「トップがジャブジャブ」の中身をめぐって、憶測が飛び交っているのだとか。(後略)

 

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