B 平均年齢が2回も訂正となった検察審査会の「審査員くじ引きソフト」は、東証1部上場の富士ソフトが製作したらしいね。民主党参院議員の森裕子が、予算委員会で追及して、ようやくわかった。
C 富士ソフトって、東証の売買システムにも絡んでいるんじゃなかった?
A 絡むどころか、富士ソフトの子会社が、東証コンピュータシステム(TCS)。TCSは、プライムシステムや丸石自転車、それにリキッド・オーディオ・ジャパン(現ニューディール)など、クセのある企業に翻弄されたあげく、富士ソフト傘下になった。
B 富士ソフトは、みずほインベスターズ証券のシステム子会社だった富士ソフトKCSとエース証券を子会社に持っているよね。みずほのシステム子会社といえば、ジェイコム株の誤発注を連想するし、エース証券といえば、ブログで植草一秀を負のイメージに捏造した「ぐっちー」を連想する。
C たしかに、エース証券のコーポレートファイナンス部長だった山口正洋のブログ「債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」の内容はヒドかった。いかにも植草と親しい関係で、植草の弁護のために裁判の証人にまでなったと吹聴した挙げ句、とても庇いきれないとする内容の記事を何度も書いた。しかし、これがすべて捏造だった。
B それを大手メディアが取り上げたものだから、「植草は友人からも三行半を突き付けられた」という世論になった。実際、植草と酒を飲んだことのある人物の話だと、「すごく陽気な酒で、楽しかった」と言っていたね。ただ、「酔いが回ると上半身裸になってはしゃぎ出す」とも言っていた。だから酒は慎んだほうが良い。
A 酒を飲むとワケがわからなくなるところがあるらしい。そのスキを突かれたのかもしれない。昔、植草と堺屋太一が対談した時、堺屋が「植草さん、そんなに時の権力を批判するのはマズイんじゃないの。権力は怖いよ」と戒めたことがある。ところが植草は「そんなのへっちゃらですよ」と、どこ吹く風。堺屋は「この人は権力の怖さをわかってないな」という顔をしてた。
B その堺屋だけど、富士ソフトの社外取締役だった。
A だった?
B 昨年6月に就任して、今年の9月に退任してる。一説には「2年の任期を途中で退任したのは、『検察審査員候補者名簿管理システム疑惑』で、富士ソフトが槍玉に挙がるから」と言われている。この富士ソフトの社長は元みずほ銀行常務の白石晴久で、顧問にはヤメ検の堀田力と元外務事務次官の谷内正太郎、それに監査役が元大蔵省理財局国有財産監査官室長の飛谷安宣。
C 堺屋だって元通産官僚だから、富士ソフトは元官僚だらけ。
B マズイと思ったのかどうかは知らないけど、堀田は6月に退任したらしい。だけど関係会社の顧問はそのまま。
A 谷内を後継の事務次官に指名したのが、司法試験も通っていないのに「国際法に明るい」との理由で最高裁判所裁判官に任命された元外務事務次官の竹内行夫だといわれている。その最高裁は、外務省の天敵だった鈴木宗男の上告を棄却した。
B 今までの話をまとめると、堀田は、特捜検事の時にロッキード事件で小沢一郎の師匠の田中角栄を起訴し、今度は顧問となった富士ソフトの「くじ引きソフト」で選ばれた検察審査会によって小沢が強制起訴された。それだけでなく、富士ソフトの顧問の人脈で鈴木が収監されたり、関係会社の社員の世論操縦によって植草が貶められた、ということになるね。
A 堺屋はヤメ検の有力団体である「アジア刑政財団」の会長を務めている人物。要は、富士ソフトは検察OBと関わりの深い会社ということ。
C 今、思いだしたんだけど、国民新党代表の亀井静香もこの会社に関わっていた。
B 警察官僚だった亀井が?
C そう。ただ、役員とか顧問じゃなくて株主として。
B 亀井が株主?
C 富士ソフトは、1996年に株式会社ABCと富士ソフトウェアが合併してできた会社なんだけど、亀井はABCの株主だったらしい。ところが、理由はわからないけど、合併の際、株券を提供しなかったみたいだ。
B なぜわかったの?
C 合併会社の富士ソフトABCが、株主への新聞公告で、株券を提供していない株主の名前を掲載した中に亀井静香の名前があったから。
A 富士ソフトウェア主導の合併に、難色を示していたんじゃないの? おそらく、そんなところだろう。
B いずれにしても、ずいぶんと官僚が絡む会社であることは間違いない。ところで官僚といえば昨年、国税庁長官になったばかりの加藤治彦が1年で退任して、9月からベンチャー投資の東証1部上場企業「ドリームインキュベーター」(DI)の専任特別顧問に就任した。
C DIの会長は、マスコミでおなじみの堀紘一で、小泉政権時、小泉純一郎に株価テコ入れの税制面でのアドバイスをしたといわれている人物。
A 加藤は当時、首相補佐官を務めていたから、その縁だと思う。それにしてもDIの大株主がオリックスとオリックス会長の宮内義彦、それにソニー元会長の出井伸之、役員には田原総一朗がいる。そのうえ「ベンチャー投資会社」とくれば、第二の村上ファンドを彷彿させる。村上世彰も元通産官僚で、オリックスがスポンサーといわれていた。
B そのDIだけど、投資する会社がボロ会社で、いわく付きのところばかり。(後略)