B 日銀が10月5日、4年3カ月ぶりとなる事実上のゼロ金利政策を導入したね。
C 同時に、超短期の国債約3兆5000億円、コマーシャルペーパー(CP)や社債、それに指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J‐REIT)など約1兆円、計5兆円の金融資産を買い進める基金を創設すると発表したものだから、東証REIT指数や株価が急反発となった。
A 日銀が「禁断の木の実」に手を出したって感じ。大規模な為替介入やゼロ金利政策は、小泉政権以来のこと。
B でも、日銀が「異例の措置」というほどの緊急事態だから、仕方ないんじゃないの。
C ETFもREITも当初は5000億円ずつ買うみたいだけど、時価総額から見てREITへのインパクトが大きい。REITの規模はせいぜい4兆円レベルだと思う。
A すべてにおいて、官僚の天下り先である金融機関の救済が目的なのはミエミエ。日銀の国債買い入れは、銀行に資金供給するのが目的で、ETFはともかくREITの買い入れは、高値づかみをした農協資金救済のため。
B そういえば、規制緩和でREITに投資した時が高値だったと、農中(農林中央金庫)の運用担当者が嘆いていたね。
C 中央銀行の国債引き受けは、戦時経済でおこなわれた政策の一つだった。これは各国も同じ。
B 戦費調達のための?
C そう。そのために国は国債を発行した。それを買ったのが中央銀行だった。
A そうなると、政府予算は制約がなくなり、糸の切れたタコのように財政の節度が失われる恐れが出てくる。
C それが目的なんだと思う。中央銀行(日銀)は無限に紙幣を印刷・発行するようになるから、円の価値が下がってインフレになる。
B インフレ、円安政策ってことか?
A 第1次世界大戦後のドイツや第2次世界大戦後の日本が、戦時国債増発のツケが回ってすさまじいインフレになり、経済は壊滅状態に陥った苦い経験がある。そのため財政法により国債の日銀引き受けは禁止となった。だから「禁断の木の実」という。今回は官僚の貯金箱である基金をつくってから木の実を食べたというのがミソ。(後略)