記事(一部抜粋):2010年10月掲載

経 済

破綻した「振興銀」の融資先に弘道会フロント企業

【証券マン「オフレコ」座談会】

B 日本振興銀行が9月10日、とうとう破綻したね。
C 破綻は前会長の木村剛が7月に逮捕される前から噂されていた。
A 融資先に弘道会のフロント企業と見受けられるところが数社あったようだ。
B 破綻は「弘道会壊滅作戦」の延長線上の話ってこと?
A 直接の原因ではないにせよ、メガバンクが貸せない先に融資してたってこと。
B 初めて「ペイオフ」が発動されたわけだけど、1000万円以上の預金をしていた人が3600人もいたらしい。1000万円以上は絶対戻ってこないんだろうか?
C 業務を引き継ぐブリッジバンク(承継銀行)が精査して、財産が残るなら分配されるけど、その可能性は低い。
A 預金者も自業自得だと思う。振興銀行はハナから「定期預金の金利は他行よりも高いし、1000万円以下なら破綻してもペイオフで全額保護されるからリスクゼロ」と言って預金集めをしてた。
B 5年定期で年1.9%、3年定期で1.5%という高金利に、欲に目が眩んで1000万円以上預けてしまったってことか。
A それより、ひと頃の郵貯じゃないけど、名義貸しや架空名義、それに家族名義が、かなりの件数になっているようだ。
C そういえば、破綻した銀行の共通点は、高金利預金。どことは言わないけど、「マンモス預金」に「イチロー最終打率預金」。国が預金を全額保護することがわかっているものだから、反社会的勢力の資金もかなり入っていた。最初の頃の、例の「市場のハイエナ・チャート図」にも、この振興銀行はしっかり載っていた。
A それにしても、「ヤメ検」の存在って、いったい何なのだろうか。前号で話題となった相撲協会の村山義弘しかり、今回の振興銀行には元名古屋高検検事長で初代金融庁長官の日野正晴が監査役として天下っていた。
B 小泉政権で金融庁の顧問をやっていた木村剛の要請によるものといわれているね。
C 振興銀行はSFCG(旧商工ローン)から二重譲渡債権を買っていたことが問題となっている。そのSFCGのグループ会社の債権回収会社で「ジャスティス債権回収」の社外監査役なのが日野のはず。
A これじゃ、社外監査役どころか、金融庁の検査からの守り神だったと言われても仕方がない。
B だけど、どこかのテレビ番組で東京地検特捜部長だった熊崎勝彦が「検察OBが対象先の顧問弁護士であっても、しょせん過去の人、手心を加えるということはない」と言っていたよ。
A 熊崎は、まだまともなほうだから、そういう考え方なんだと思う。吉本興業の騒動後に監査役になったくらいで、昔の部下が指揮する事件に敵対する形で、弁護士になったという話も聞かない。ところが、熊崎が以前所属していた「のぞみ総合法律事務所」の看板弁護士で元東京地検検事の矢田次男は、経済事件の調査委員長を務めたり、その他の原告や容疑者の弁護人をやったりしている。
C 振興銀行の特別調査委員長にも、元大阪高検検事長の弁護士・河内悠紀が就任したね。
A 検事総長だった松尾邦弘が、依頼を断ったからだといわれている。まぁ、司法試験を受かっているんだから、検事から弁護士になっても文句の言いようがないが、外務官僚から裁判官になるのは何とかならないのか。
C 鈴木宗男の上告を棄却した最高裁裁判官の一人である竹内行夫のことを言いたいんじゃないの?
A その通り。竹内は外務事務次官を務めた後、国際法に詳しいとの理由で、当時の首相だった麻生太郎が最高裁裁判官に任官させた経緯がある。(後略)

 

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