記事(一部抜粋):2010年6月掲載

経 済

みずほFGと新生銀の命運

経営刷新でも見えない先行き【金融ジャーナリスト匿名座談会】

(前略)
B 話を戻すけど、新生銀行は2期連続赤字で、ついに経営の大刷新を迫られた。迫ったのは金融庁だ。あまり褒めるといけないけど、金融庁は今回に限っては頑張ったという感じがする。
C 新生銀には現在でも3000億円ほどの公的資金が入っている。しかも、赤字決算で返済が遅れたため、政府保有の優先株式は普通株式に転換された。つまり、国は新生銀の株主、それも第2位の大株主だ。国は大株主として、新生銀の経営に意見を言う立場にある。もちろん、株主としての利益が損なわれそうなときには、経営に対して厳しく臨まなくてはいけない。金融庁は政府の一員として、その役割を果たす義務がある。
A つまり今回は、単なる監督官庁というだけでなく、株主としての役割を果たしたというわけだ。そういえば新生銀の経営陣は金融庁に平身低頭だったようだね。
B 経営陣だけではない。筆頭株主のJCフラワーズもそうだった。幹部が頻繁に金融庁を訪問していたが、そこでかなり厳しい注文を金融庁から出されていた。ぐうの音も出なかったと言っていい。
C 八城社長もそうだ。自身の辞任はもとより、ほかの経営陣や高額報酬を得ていた外国人行員たちの整理にも積極的だった。
A 高給の外国人行員たちは問題だった。たいした実績もあげないのに、とてつもない報酬をもらっていたからね。
C 彼らにとって、新生銀は極楽だったにちがいない。
B 外資系の世界では、個人ではなく、チームで転職するケースがよくある。日本語に訳すると、「お仲間」という表現がぴったりだ。仲間同士でオイシイ仕事を分け合っている。新生銀にはそういう面が多分にあった。
C 旧長銀が破綻して、それを米系ファンドが買って誕生させたのが新生銀行だ。投資ファンドは、破綻企業を買収し、それを再生して、企業価値が上昇したときに保有株を売却して利益を上げるのをビジネスとしている。新生銀でも株価が上昇したときにその機会があり、ファンドは一部株式を売却して1000億円ほどの利益を得ている。しかし、残りの保有株は今も持ち続けている。
B 株価が下落して売り時を逸したという見方もできるが、JCフラワーズの場合、持ち続けようという意思が固い。なぜか。銀行を保有することにメリットを感じているからだろう。
A 新生銀は、JCが投資した先に、投資をしたりしている。ドイツの銀行などが典型的なケースだ。果たして、こうした行為に妥当性はあるのか。法的には問題のない契約になっているようだが、親会社のために子会社の銀行が動くのは「機関銀行化」とどう違うのか。いうまでもなく機関銀行化とは、銀行の経営を危うくさせる違反行為だ。(後略)

 

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