(前略)
B 話は変わるけど、大盛工業事件や武富士事件に深く関わり、かつてはオウム真理教事件の時には、オウム側の立場で取材陣を仕切っていた大塚万吉が、今度は住宅設備大手「INAX」に絡む中傷文書を送付したとして、逮捕されたね。
A INAX(住生活グループ)じゃ、相手が悪すぎる。INAXは2001年にトステムと経営統合したことから、住生活グループといわれているけど、元々は三菱財閥と親密な森村財閥グループだった。
B 森村グループって、日本硝子や日本特殊陶業、それにノリタケやTOTOも入っていたね。
A それに共立マテリアルと森村商事、大倉陶園も入ってくる。もう30年も前の話になるんだけど、INAXは当時、伊奈製陶所名で上場してた。その伊奈陶と同じ地元の丸茂工業が伊奈陶株を強烈に買い占め出した。
B 丸茂工業って仕手筋としても名前が上がったことがあるね。
A そう。伊奈陶とちょっとしたトラブルがあったらしい。だから、買い占めるのが本当の目的ではなく、プライドの問題だった。
C だからわざとらしく買ったわけか。丸茂が買いの注文を出した証券会社は伊勢町の地場証券で、公然と買い注文を出したといわれている。
B ふつうは証券会社を分散して、目立たないようにして買い占めるもの。発行会社が気づいた時には過半数を握っているというのがベスト。
A 相手が悪いと言ったのは、伊奈陶は三菱財閥をバックとする森村グループの一員だったこと。森村グループや住生活グループを見ればわかるように、メインバンクはすべて三菱UFJ。中部財界とその意を受けた官僚が証券会社に圧力を掛けてきた。余談だけど、買い占めの途中に「笹川の代理人」という男から電話が掛かってきた。
B それで何と?
A「2000万円出したら、買い占めを手伝ってやるぞ」だって。当然、断ったらしい。
C 結局、高いプライド代となったわけか。
A そういうこと。それに、この人脈と先の富士通の内紛の人脈が重なってくる。これは僕の見立てだけど、サンドリンガムを「反社会的勢力がついていて、取引等の関係を持つことはふさわしくない」とアドバイスしたのは、武富士を牛耳っている某証券会社じゃないだろうか?
B そういえば、サンドリンガムの代表の房広治と盟友関係といわれるEMCOM証券(ジャスダック上場のEMCOMホールディングスの子会社)現社長の川島亮太郎を、某証券会社出身の役員が、武富士の顧問から追い出したといわれているね。
A その時の理由も、「反社会的勢力とのつき合いがある」だった。
C そうなると当局は、武富士の空売りと住生活グループの空売り、それに富士通の空売りをチェックした方がいい。
B かつての「グリコ森永事件」は、事前に上場する食品メーカーの空売りを仕掛けたうえでマスコミに犯行声明を送り付けたといわれているね。株価下落を狙った劇場型犯罪、だから未上場のロッテは狙いの対象とならなかった。
C 1997年頃から活躍した「金融犯罪特別調査機構」も、株価の下落が目的だろうといわれていたね。阪和興業や山一証券、それに長銀や飛島建設などの内部資料を、マスコミや関係機関に、多い時には段ボール箱一杯にして送り付けていた。(後略)