記事(一部抜粋):2010年2月掲載

政 治

ポスト鳩山に仙谷由人を擁立へ

小沢に祟られる面々が結集【永田町25時】

 先月号で民主党幹事長の小沢一郎が首相の鳩山由紀夫、社民党、国民新党を切り捨てるのが今年の政局と予想した。その前の号では、小沢独裁を止められるのは検察だけと指摘した。その検察が1月14日に動いた。小沢の事務所や資金管理団体「陸山会」、元秘書で衆院議員の石川知浩の事務所などを家宅捜索し、石川と公設第一秘書の大久保隆規ら3人を逮捕した。
 捜査の手が小沢まで届くかどうかは予断を許さない。仮に届いても、逮捕がなく政治資金規正法の虚偽記載どまりなら、小沢は政治生命を維持する可能性が高い。
 もちろん自民党は好機到来と夏の参院選をにらんで通常国会で大攻勢をかける。鳩山の、母親から「子ども手当」をもらっていた脱税疑惑もある。普通なら鳩山政権も黒幕小沢の権力も崩壊する局面だ。
 ただ、総裁の谷垣禎一をはじめ自民党がいかにもだらしなく、攻めきれない。国民の反応も、まだ鳩山政権を見放すところまでいってない。3人の逮捕後に政権支持率は急落したものの、支持のほうが若干ながら上回っている。小沢の剛腕を悪と判定する雰囲気が国民の間に広がるかどうか。
 小沢の容疑は専門家がみればマネーロンダリングだとすぐに分かる。ゼネコンからのカネや、新進党や自由党を解党したときに自分の資金団体に移した政党助成金などを、自分の資産にするために不動産購入というカラクリを使った。検察が解明すれば、国民の多数が悪と判定するだろう。しかし小沢サイドも知恵を絞ってきた。検察と小沢の攻防の行方は不透明だ。
 ただし今回の局面で明らかになったことがある。それは「小沢が生きのびたら祟られる」と覚悟した陣営が連携を模索し始めたことだ。小沢が今の危機を乗り切って権力を保てば、かえってその独裁は強まり、かつての田中角栄を超える手のつけられない存在になる。さすがにそれは困ると、民主党内の反小沢勢力と自民党幹部が密かに接触を始めたのだ。国民新党も社民党も思いは同じだ。
 3人が逮捕された後、元衆院副議長の渡部恒三を隠れ蓑にして、前財務相の藤井裕久、国家戦略・行政刷新担当相の仙谷由人、外相の岡田克也、国交相の前原誠司、元政調会長の枝野幸男、副財務相の野田佳彦、衆院財務金融委員長の玄葉光一郎ら反小沢の面々が対応策を練り始めた。いずれも小沢の独裁が強まれば切り捨てられる運命。これに同じ運命の社民党、国民新党が同調する。いずれ切り捨てられるのに小沢と一蓮托生なのは鳩山だけだ。(後略)

 

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