政 治
2010年に小沢一郎が切る
鳩山由起夫、社民党、国民新党【永田町コンフィデンシャル】
鳩山由紀夫が早期に首相を辞任したときの後継として、年末に総務相の原口一博が急浮上した。テレビ出演で売った知名度、ソフトな風貌、50歳という年齢が、参院選の顔として適切と、幹事長の小沢一郎周辺が流した。マスコミは色めきたった。というのも、原口はテレビ電波のオークション制度導入を策す張本人。背後にいるのは小沢。テレビ局と系列の新聞各社の小沢独裁批判に対する牽制と受け取ったからだ。電波が競売になれば、テレビ各社の収益は悪化が必至だ。
小沢が原口を可愛がっているのは周知の事実。原口なら小沢に逆らわず、コントロールするのも容易だ。だが反小沢の民主党幹部は「原口総理はあり得ない」と断言する。「党内の半数近くを敵に回すようなことを、あの小沢がやるものか」。小沢の権勢はいまや頂点。160人もの若手議員を引き連れての中国訪問で内外に威信を誇示もした。ポスト鳩山が小沢の胸先三寸で決まるのは事実だ。それでも党内に少なくない反小沢を敵に回す決断はできないというのだ。
副総理の菅直人、外相の岡田克也、それに国民新党代表で金融相の亀井静香。3人とも鳩山の次は自分と狙いをつけている。党内の常識では1番手が菅、2番手が岡田。この2人を競わせ、忠誠を誓ったほうを小沢は選ぶ。2人がともに意に添わなければ原口か亀井だとブラフをかけるのが、小沢が現在とっている戦略だ。
年末、小沢と自民党の青木幹雄、森喜朗の長老2人が密かに会談したという情報が永田町に流れた。大連立の夢よもう一度と噂が立つ。あり得ないのだが、これで小沢は民主党内と社民党、国民新党にもそれぞれブラフをかけた。
小沢が何を考えているかを推測すれば、次の行動も推測できる。政権奪取の大きな目的は内外の利権を掌握することだった。小沢の過去の政治行動をみれば、利権の掌握にすべてをかけているのは明らかだ。国内の利権は、政府・官僚との民間団体や地方自治体の接触を禁止し、陳情を幹事長室で独り占めすることでほぼ握った。対外利権で最大のものは中国だが、大訪中団によって「小沢に頼るのが一番いい」と関係者への刷り込みも済ませた。
後は、この権力基盤を損なう可能性を排除していけばいい。その要素は米国、景気、検察の3つ。
普天間の基地移転問題で最悪となった対米関係、二番底の恐怖が現実となりそうな景気悪化。この2つは優柔不断な首相のせいにして解決する。景気悪化に対する国民の不満をそらすには首相を替えて新体制にするのがいい。対米でトゲとなっている社民党もいずれ切るが、まずは年明けに鳩山切りのタイミングをはかり、様子をみて次が社民党の順。米国の怒りが思いのほか強ければ、社民党切りは早まるかもしれない。
難敵は検察。(後略)