記事(一部抜粋):2009年9月掲載

経 済

大引け前に必ず買い支え

株価1万円超えの裏事情【証券マン「オフレコ」座談会】

B 日経平均株価が今年の新高値を更新してきたね。
C 海外マーケットが強かったってこともあるけど、主因はバークレイズによる先物の一手買い。それも大引け前には必ず買い支えを入れてくる。まるでPKO(プライス・キーピング・オペレーション=株価維持政策)みたい。
A それは米国のダウ平均も同じ。日本の場合、総選挙を控えて、与党の景気対策が効果を上げていることを印象付けるために、公的年金やゆうちょ資金を投入しているとの噂がある。1万円割れを阻止したのもバークレイズだった。
B でも公的資金を先物で運用することはできないんじゃないの?
A ところが、2002年10月に自宅玄関先で刺殺された民主党議員の石井紘基が、刺殺される直前、重要な資料を入手し「これで与党がひっくり返る」と周囲に話していたというのが、この「公的資金による先物運用」といわれている。
C 石井は刺殺される1年くらい前から、官による裏帳簿や利権システムを暴く本やDVDを立て続けに出版していた。不思議なのは、その本やDVDが刺殺後、全国の書店の店頭から姿を消したこと。今では全て絶版だ。
B 誰かが買い占めたってこと?
C それはどうかはわからないけど。
A 国策捜査の疑いが濃い小沢一郎の「西松建設からの違法献金事件」も、小沢が「民主党が政権をとったら、局長クラスの辞表を一旦あずかる」と発言したことが発端と言われている。要は民主党政権に忠誠を誓う官僚だけに、再び局長をやってもらうということ。この発言を、霞が関はどうしても許せなかった。
C 偶然かどうかは別にして、官僚に都合の悪いことを言い出した者が、殺されたり失脚したわけだ。
B 偶然にしてはでき過ぎているけど……。ところで、この株価の戻りは本物だろうか?
C 相場の格言に「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し、幸福感とともに消えていく」というのがある。それは、皆がもうダメだと思った時から強気相場が始まり、本当に大丈夫だろうかと疑いの目で見ているときに上昇し始め、安心して買い始めたときに相場が終局に近づき、皆が買いだと大騒ぎしている頃には、既に終わっているというもの。
B これを当てはめると、今は「懐疑の中で育ち」の段階と言いたいわけだね。
C 通常ならね。ところが、世界的に利益の分配システムが昔と違ってきているため、この循環通りにならないんじゃないだろうか。
A Cさんが言いたいのは、「世界的に中流階級層が破壊されている」ということだと思う。日本の高度成長期は、中小企業も儲かり、従業員の給料も増えて、中流階級層がふくらんだ。その中流が消費を活発化させたおかげでGDPが急成長した。ところが、自公の大企業優遇政策は、その中流の大部分を再び下流へ転落させてしまった。
B 米国だって、今回のリーマン・ショックで、大企業に湯水のような血税が投入されているよ。
C 大企業優遇政策は、経団連の会長企業に日本を代表する輸出企業が就いてからだと思う。いくら経団連の活動に年間60億円の経費が掛かるからといって、業界への利益誘導は目に余る。輸出振興名目で輸出企業へ消費税が払い戻される一方で、消費税を払わなければならなくなる事業者の所得のハードルを、3000万円から1000万円に引き下げた。
B だから輸出企業は消費税引き上げに賛成なんだという説もある。
A「ダム理論」というのがあったね。
B 一旦、大企業におカネが溜まるようにしておけば、やがて下請けの部品単価や従業員の給与引き上げという放流が必ず起こるという理論だね。
A それが、いざなぎ景気を超えたという今回の企業業績の回復時でも、ついぞ放流されることはなかった。消費がいつまでたっても回復しない原因はここにある。
C 要は、いくら15兆円もの経済対策(補正予算)で、エコポイントやエコカー名目で大企業に補助金を与えても、それを下に還元(放流)しない限り、本格的な景気回復は望めないということ。
A その15兆円のうち、4兆円強が官僚の天下り団体の基金にプールされる。それに、天下り団体の建物建設にも3兆円弱が投入される。「100年に一度の危機」を謳い文句に、大企業と族議員、それと官僚の「鉄のトライアングル」が、血税を使って甘い汁を吸う。これが本当の「未曾有の危機」だろう。(後略)

 

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