「民主党には私の言うとおりにやらせる。小沢の独裁にはしない」
国民新党代表代行の亀井静香は選挙期間中、新たな連立政権の性格を心配する声にこう応じた。民主党は、241議席以上を獲得して衆院の過半数を占めても、国民新党、社民党と連立を組まざるを得ない。理由は参院で単独過半数に達しておらず、政権運営には両党の助けが不可欠だからだ。
亀井は、小沢一郎を抑える政治力があるのは自分だけだという。民主党代表の鳩山由紀夫や幹事長の岡田克也、代表代行の菅直人らは小沢と互角に渡り合うには力量不足。本当の駆け引きができるのは、「言うことを聞かなければ連立を離脱する」と恫喝できる亀井だけ。だから「私が小沢に取り込まれてはおしまい。頼まれても新政権で閣僚になるつもりはない」と周辺に語っている。
新連立政権の性格を心配する声があるのは、各種の世論調査で民主党に圧倒的な追い風が吹き、選挙責任者である小沢が手取り足取り面倒をみるいわゆるチルドレンが多数当選する可能性があるからだ。そのとき小沢グループの数は、衆院が現職の30人(一新会メンバー)と新たに当選する新人と元職の50人から60人、これに参院の約20人で、合計は100人を優に越しそうだ。しかも、いずれも小沢に絶対服従の輩ばかり。100人もの国会議員を従えた小沢の政治力は恐ろしい。
小沢は幹事長の岡田を官房長官として閣内に送り込み、自分は幹事長に就くつもりだろう。1993年の細川非自民連立政権でも自らは新生党の代表幹事にとどまり、実質的に政権を支配した。今回は連立を組む小政党の代表ではなく、衆参の第一党の幹事長として采配をふるう。小沢に党内で逆らう者はいないだろう。しいて言えば、参院議員会長として民主党参院をまとめる日教組出身の輿石東ぐらいか。
政治家が100人くらい政府に入り、脱官僚、政治主導を実現するという民主党の理想とは程遠い。小沢主導の党がすべてを取り仕切る態勢となる。自民党の田中派支配時代や小沢が幹事長として権限を持っていた竹下派時代より、もっと極端な前代未聞の独裁的な政治が展開されることになろう。お坊ちゃんの鳩山は長くは持たない。(後略)