記事(一部抜粋):2009年6月掲載

経 済

【証券マン「オフレコ」座談会】

「産業再生法」絡みで急騰・急落、パイオニア株の不可解な動き

(前略)A 先程の政府が絡んだ究極のインサイダーの話に戻そう。4月22日に参院本会議で可決・成立した「産業再生法」の改正案もインサイダーに利用されやすい。
B エルピーダメモリや日立製作所が活用を検討していると報道された。
C パイオニアやオリックス、日産自動車も同様に報道されたけど、すぐに否定するコメントをリリースしたね。
A いずれも決め付けて報道している点に注意が必要だろう。5月6日付の日経新聞は《日産、オリックス、危機対応融資の追加を打診 1000億円規模》との見出しで、両社が「政府・政投銀に追加の危機対応融資を打診していることが5日、明らかになった」として、「日産が借り増しの要望を伝えた」とまで断言している。
B そこまで断言するということは、記者が確固たる情報を関係筋から入手したということになる。
C 企業サイドということは考えにくいから、情報源は政投銀、経産省、政治家あたりか。
A 日産やオリックスは「そのような事実はない」と正式にコメントしている。確固たるニュースソースが無いのに記事にしていたとしたら、これは「風説の流布」に当たるだろう。パイオニアは新聞報道を受けて47円高となった。日産は13円高、オリックスは420円高となった。特にパイオニアの株価は100円どころだったのに、公的資金投入の報道直前から急上昇。ついには、その報道を受けて一気に400円に乗せた。
C パイオニアのチャートを見ると、400円に乗せたあたりから出来高が急増して、その後急落。明らかに報道を利用して売り逃げた形跡がうかがえる。
B 総選挙も近いし、選挙資金づくりには持って来いの政策なわけだ。それも、主管の経産省絡みの政治家を考えると、いろいろ勘繰りたくもなる。
A そもそも、国民の血税を投入するのに、「カネは出しても口は出さない」という方式で、再建に失敗しても誰も経営責任を問われない。
C インサイダー取引の有無だけじゃなくて、公的資金を受け入れた企業への天下りや、政治献金をしっかりチェックするべきだ。「100年に一度の危機」と世論を煽っておいて、放漫経営で大幅減益となった大企業に政治家や官僚が「公的救済」で恩を売る。前にも言ったように、これを「死ぬ死ぬ詐欺」って言うんだよ。
B 公的資金をワケのわからない企業にバラまいた新銀行東京のケースに良く似ている。あの融資にも都議会議員の口利きが多かったことが判明した。
A 似ていると言えば、新銀行東京の社外取締役だった元東京地検特捜部長の石川達紘が、パイオニアの取締役を務めていたことがあるはず。
C 石川達紘といえば、アイビー化粧品だろう。かつてリキッド・オーディオ・ジャパン(現ニューディール)がマザーズ上場第一号となった際の「上場記念パーティ」に、その筋と思われる若衆を引き連れてリムジンから降り立った人物が一部で注目を浴びたね。その人物は今でもアイビー化粧品の大株主で、石川はその会社の監査役を務めていた。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】