記事(一部抜粋):2009年1月掲載

政 治

「首相病」の加藤と山崎を操り

自民党をかき回す小沢、菅、亀井【永田町25時】

 国会には「首相病」に罹った患者がいる。一般人には信じられないが、自分を特別な人間と確信し、必ず総理大臣になると信じ込む。自民党では加藤紘一と山崎拓の2人、野党では国民新党代表代行の亀井静香が代表例だ。中でも症状が重いのが加藤。森喜朗を首相の座から引きずり降ろそうとした「加藤の乱」のように、時の首相の旗色が悪くなると血が騒ぐ。今度こそ自分の出番と思うのだ。
 麻生太郎の支持率低迷が明らかになった11月中旬以降、案の定、加藤と山崎は動き出した。2人はまず亀井と連携し、続けて民主党代表の小沢一郎に会談を申し込んだ。「麻生を引きずり降ろしたいので協力してほしい」。小沢の答えは、側近によると「お2人でまず自民党を離党し、新党を結成したらいかがですか」だった。
 加藤と山崎には亀井も離党を勧めているが、永田町では「2人とも衆院選前の離党には難色を示している」と伝わっている。だが本音は分からない。12月14日、民放テレビの報道番組に出演が決まっていた加藤と山崎は、民主党代表代行の菅直人と亀井も呼ぶよう注文をつけた。番組では、亀井と菅が「選挙前に党を割る度胸があるかないかだ」「勇気ある方が自民党の中から行動を起こしてほしい」と呼びかけ、加藤と山崎は「今はそういうことは考えていない」と口を揃えた。裏の話し合いをあえて表に出したのだ。
 小沢、菅、亀井の3人は、一刻も早く麻生を衆院解散に追い込み、政権を奪いたい。だが麻生は頑として応じない。加藤と山崎が一定の人数を引き連れて自民党から出れば、政権は揺れる。自公で衆院の3分の2を割ったら政権運営はできず、総辞職か解散しかない。
 加藤と山崎には「首相」の餌がぶら下げられているはずだ。「新党で衆院選を戦い、選挙後に連立すれば加藤首相(もしくは山崎首相)がありえる」と。その餌にはもちろん、民主党単独で衆院過半数に届かなかった場合という条件がつく。単独過半数なら小沢が首相。だが首相病患者の2人は、自分たちの出番が回ってくる展開になる、と思い込んでいる。
 小沢は、加藤と山崎が自民党からまとまった人数を引き連れてくるとは思っていない。だが自民党内は麻生批判で満ち満ちている。加藤と山崎が党を割れば総崩れになって離党が相次ぐかもしれない。(後略)

 

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