いよいよ不動産不況が底無しの様相を呈してきた。総崩れの新興勢力のみならず、1兆円ファンドで注目を浴びたダヴィンチ・ホールディングス、ダイア建設などメジャークラスでさえ経営危機説がまことしやかに囁かれている。極端な融資締め付けで批判を浴び、慌てて貸し渋り対策に乗り出した金融庁が何と言おうが、金融機関の不動産融資からの撤退に歯止めがかかる気配はない。銀行から見放された不動産業者は、ゴールドマン・サックス、いちごアセットマネジメント、オリックスといった外資やファンドにすがるしかない。ところがスポンサーの本音が「優良物件の買い叩き」「法的整理後の本格支援」である以上、倒産処理の加速はやはり避けられない。冗談ではなく、このままでは30社を超える上場新興デベロッパーが倒産の憂き目にあうことになりそうだ。
資金繰りに苦しむ新興デベロッパーの足元を見透かすかのように、架空の融資話を持ち込む詐欺集団も跋扈しはじめた。例えばバブル期に暗躍したある仕手グループの残党は、金融や証券会社、コンサルタン会社などで怪しげなグループを形成、「金融機関から融資を拒否された不動産業者に、融資や増資を餌に高額な手数料を騙し取ろうとしきりに接触している」(不動産関係者)という。また年利3〜12%の低利を謳って中小の不動産業者へのアプローチを繰り返すヤミ金も複数ある。その手口は、メジャーな投資ファンドや大手銀行の系列もどきの社名を騙り、融資を申し込まれると即座に承諾、「倒産防止保険金」と称してとりあえず30万円を振り込ませるというもの。まさに新手の不動産版振り込め詐欺である。
倒産した上場デベロッパーの株価が異様な動きをみせている。たとえばスルガコーポレーション株は民事再生法申請後の32円が89円まで上昇、ゼファーに至っては申請直後の寄り付き1000円から200円まで急騰した。倒産企業の株価は1ケタというこれまでの常識を覆す珍現象。その裏で「生き馬の目を抜く外資やアングラマネーが絡んだリスキーなマネーゲームが繰り広げられている」(兜町関係者)のは想像に難くない。一方、危ないとされる某上場デベロッパー2社をめぐっては、取引銀行で大株主でもある某有力地銀が「融資を打ち切るとともに、いち早く保有株を売却した模様」(証券関係者)。事実ならインサイダー取引である。(後略)