記事(一部抜粋):2008年9月掲載

経 済

【証券マン「オフレコ」座談会】

相手の足下を見たハゲタカ外資の錬金術

(前略)
B 6月のスルガコーポレーションに続いて8月にはアーバンコーポレイションが民事再生法を申請したね。
A アーバンはスルガと地上げで連携していたようだから「スルガの次はアーバン」というのは必然だったのだろう。
B そんなことを言ったら「USA」の残る1社、アセット・マネジャーズ(現アセット・マネジャーズ・ホールディングス)だって、アーバンの元子会社なんだからヤバイということにならない?
C そのアセット社だけど、例の「市場のハイエナ・チャート図」ではイーバンク銀行とラインで結ばれている。これって、「上海総合株価指数の証券化ビジネスに、イーバンク銀行の預金者のおカネが投資されている」ってことだと思うけど、真偽のほどはどうなんだろうか?
A アセット社の話より、アーバンが破綻するまで、BNPパリバ証券と結んでいたスワップ契約を公表しなかったことが問題となっている。
B 8月16日付『朝日新聞』朝刊が取り上げていたね。何でも、BNPを引受先に300億円の転換社債を7月11日に発行すると発表していたにも関わらず、実際には「発表翌日以降に株価が下がり続けるとBNPへ返還額が生じる」というスワップ契約を結んでいたため、手元には92億円しか残らなかったというもの。
C「増資の条件がスワップ契約と空売りだった」との噂もある。このようなハゲタカ外資の相手の足下を見た錬金術は目に余るね。
B 他にもあるの?
C 例えば東証マザーズ上場で中古マンション再生販売を手掛けるアルデプロ。8月7日付『日経新聞』は次のように報じた。「ゴールドマンにCB100億円発行」との見出しで、「ゴールドマン・サックスグループを割当先として27日に転換社債型新株予約権付社債(CB)を約100億円発行すると発表した。同社は昨夏にゴールドマンに発行した同額のCBの償還を控える。前回CBは現時点で株式転換がなく、実質的な借り換えとなる」。あの抜け目のないゴールドマンが、スワップ契約を結んでいなかったとは考えにくい。案の定、同日、アルデプロはストップ安となっている。
B それは、同日発表された連結最終損益が大幅な赤字転落だったからじゃないの?
A ゴールドマンといえば、増資絡みではないけど、クボタ株にも注目したい。クボタは8月6日、北米のトラクター販売の不振で「4〜6月の連結営業益が9.5%減になった」と発表した。ところが、翌7日は朝から大量の買いが先行し80円高で寄り付いたことから、200万株を超える空売りが入った。そこを見透かしたかのように、ゴールドマンはクボタのリポートを作成し、レーティングを引き上げている。
B 目標株価を900円に引き上げたようだね。意図したかどうかはわからないけど、たしかにタイミングはいい。ところで、今年最大のイベントである北京オリンピックが8月8日から始まった。ところが同日、上海総合指数が急落、その後も下落が続いている。これって何か先行きを暗示してるんだろうか?
C 先行きというより、材料が出尽くしたってこと。そもそも「中国景気は北京オリンピックまで」とか「米国と中国の間で『北京オリンピックまでは中国元の切り上げは行わない』という密約がある」とか言われていた。
A 気になるのは、その開催日に合わせるかのように、グルジア領南オセチア自治州へのロシアの軍事介入を機に、グルジアとロシアが戦闘状態に入ったこと。
B そう言えば、もう一つの紛争地であるグルジア領アブハジア自治共和国から山一つ越えたところにあるのが、2014年に冬季五輪が開かれるロシアのリゾート地・ソチだったね。「北京からソチ」か。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】