(前略)みずほフィナンシャルグループ(FG)の前期は、サブプライムローン関連の6450億円という巨額損失によって純利益が五割減、しかも2期連続の減益。原因はみずほコーポレート銀行の証券化ビジネスの失敗に尽きるが、斎藤宏コーポ銀頭取、前田晃伸FG社長ともに経営責任を一切取ろうとしない。2人の確執が、共倒れを恐れて保身を優先させる結果につながったとの見方もあるが、金融庁が黙認しているのも不可解だ。
それにしても6450億円という損失規模は、野村証券の2600億円と比べてもあまりに巨額。そこで金融関係者の間で囁かれているのが、「コーポ銀の前身である旧日本興業銀行の不良債権を、サブプライムの損失とあわせて一気に吐き出したのではないか」という噂。もちろん真偽は定かでないが、バブル崩壊後の旧興銀が、興和不動産をはじめ、ハワイのコーリナリゾート投資や大阪の料亭女将・尾上縫関連など膨大な不良債権を抱えていたのは事実。同じ長信銀の旧長銀、旧日債銀が破綻処理される一方、旧興銀だけが延命したことも当時から疑問視されていた。旧富士銀行、旧第一勧業銀行との3行統合も明らかに興銀救済色が濃く、みずほFG誕生後も不良債権処理に追われてきたことをみても、まんざらあり得ない話ではない。興和不動産(現ケイアール不動産)が今年4月、唐突に1677億円の負債を抱えて特別清算処理されたが、これは単なる偶然か。(後略)