民主党代表の小沢一郎が「次期衆院選に向けた第1次公認を9月初めに発表する」と、現職以外の候補者130人を党本部に集めて通告した。首相の福田康夫に問責決議案を突きつけ参院本会議で可決した2日後の6月13日のこと。連日どぶ板を踏んで汗を流す130人は、これで衆院選が少なくとも民主党の代表選が終了した後の10月まではないことを確信した。
早い時期の問責決議では、民主党は長期の審議拒否を強いられる。それで世論の批判が高まれば代表として小沢は窮地に立たされる。それを避けての国会閉幕ぎりぎりでの提出は、代表選に向けた小沢のパフォーマンスにすぎない。
一方の福田は、対抗して衆院本会議での信任決議を得たことで反福田の動きを封じ込め、「サミット花道論(退任論)」を消し去った。それどころか与党の信任を背景に7月下旬の内閣改造を模索する。臨時国会の招集は早くとも8月下旬、そこで民主党が審議拒否戦術をとってもそれは代表選が終わるまでの2、3週間。10月までは、どんなに支持率が低くなっても首相の座に居座れる。
政権発足からしばらくは福田と小沢は「大連立構想」で互いに支え合った。今回のべた凪政局は、御身大事の福田と小沢の政治姿勢が阿吽の呼吸でつくっている。
ただ、通常国会終盤に注目すべき2つの動きがあった。民主党副代表の前原誠司が『月刊中央公論』で展開した小沢批判と、元公明党委員長の矢野絢也の公明党・創価学会批判。ともに含む火薬はたっぷり、爆発すれば政界動乱の引き金になる可能性がある。(後略)