記事(一部抜粋):2008年4月掲載

経 済

始まった「第二のスルガ」探し

【情報源】

 3月号の本欄で「上場不動産会社による暴力団への資金提供事件の立件が秒読み」と指摘したスルガコーポレーション事件が案の定、表面化した。弁護士法違反容疑での立件のため、企業舎弟に地上げを依頼したスルガ側には今のところお咎めなしだが、株式市場では不動産セクターが軒並み売られ、第2のスルガ探しが始まっている。大手新興デベロッパーでは急速に資金パイプが狭まり、ある上場不動産ファンドでは「デューデリジェンスの過程でマネーロンダリングが発覚した」(外資系証券)という。警察・金融当局も反社会勢力の排除に躍起となっており、今後もデベロッパーや不動産ファンドが最大のターゲットになる。
 関西の地場大手デベロッパーA社では、多額の補助金を不正受給していた疑いが浮上している。同社は大株主にゼネコンやベンチャーキャピタルが名を連ね、広域暴力団とも極めて密接な関係にある地元の大物企業。自治体やアングラ勢力を巻き込む事件に発展する可能性もある。
 東証2部上場のシステム開発会社、ニイウスコーをめぐる粉飾疑惑の解明に、証券取引等監視委員会(SEC)がついに乗り出した。同社は日本IBMと野村総合研究所の共同出資で設立され、三菱東京UFJ銀行向けシステムを手がける名門企業だが、2007年6月期決算で突然、巨額の損失を計上し債務超過に転落した。経営陣が総退陣、メーンバンクの三菱UFJ主導で投資ファンドの支援を受け、どうにか破綻を免れているが、実は当時から「巨額損失の裏には架空取引がある」(業界関係者)との噂が絶えなかった。今年2月にニイウスコーが「過去に不適切な取引が行われた疑いがある」と公表したことで、燻っていた架空取引問題が一気に再燃したわけだ。
 SECの調査結果が待たれるところだが、それよりも関係者の注目を集めているのが、メーンバンクの関与の有無と、「その三菱UFJの頭取経験者の親族で日本IBMに在籍する人物が架空取引に絡んでいるとの噂がある」(大手紙デスク)ことだ。(後略)

 

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