記事(一部抜粋):2008年3月掲載

経 済

「ベンチャーと闇社会」の相関図

【情報源】

 兜町はじめ金融関係者の間で、あるチャート図が話題になっている。100を超えるITベンチャー経営者、一般事業法人、銀行、証券会社、さらには政治家、ブローカー、アングラ紳士などの実名が記され、新興ベンチャーの人脈や資金のつながりが網羅されている。この種のリストやチャートは過去にも度々出回っているが、今回のチャートの主役は、金融庁検査が終了したばかりのみずほ銀行。執行役員、本店審査部担当者の個人名があり、そこから様々な方向にラインが伸びている。
 みずほ銀行といえば、「不透明な買収スキームにこれほど多額の融資をするのは常識ではありえない」(大手銀行融資担当者)と金融関係者を呆れさせた、六本木支店からグッドウィル・グループへの約900億円の巨額融資や、TBS株の取得資金として渋谷支店がABCマートに融資した265億円など、憶測を呼ぶ案件が少なくない。チャート図ではそれ以外にも、みずほが仲介し、JASDAQ上場のディーワンダーランド、大黒屋、橋梁メーカーのサクラダが絡んだM&Aも取り上げられている。
 そこに登場するのが、一方の主役であるゴールドマン・サックス出身の小川浩平・森電機社長。小川氏は東証2部上場のセキドのM&Aでも、みずほ銀行とタッグを組んでいるという。興味深いのは、これらの登場人物が慶応大学ラグビー部人脈だと指摘されていること。
 ほかにも、摘発された関西の西田晴夫氏、大場武生氏などの仕手筋や、アイビーダイワ、キムラタン、シルバー精工、ヤマシナなどお馴染みの仕手銘柄が登場。オーベン(旧アイ・シー・エフ)、NOVA、SFCG(旧商工ファンド)、ACホールディングス(旧南野建設)、東理ホールディングス(福村康博社長)の名前もある。
 SEC(証券取引等監視委員会)や金融庁の目が厳しさを増しているだけに、チャートに登場する案件の中には今後事件化、スキャンダル化するものもありそう。早速、SECは大阪府警と連携し、金融商品取引法違反の疑いでマザーズ上場のオーベンを強制調査。東京地検特捜部時代に敏腕検事として鳴らした佐渡賢一氏が委員長に就任し、人員と権限も強化されたSECが「最大のテーマはベンチャーと闇社会の実態解明」(SEC関係者)と意気込んでいるだけに、春以降、アングラ勢力とそれに連なるベンチャー関係者が芋づる式に炙り出されそう。(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】