記事(一部抜粋):2008年2月掲載

経 済

「ゼネコン淘汰」最終ステージへ

【情報源】

(前略)再編といえばゼネコン業界がいよいよ窮地に追い込まれた。公共事業が激減、脱談合により利益率が大幅に低下したところに、改正建築基準法による混乱が追い打ちをかけ、業界はまさに瀕死の状態。10年前のゼネコン危機は銀行問題だったが、今回の危機は業界構造そのものに起因するだけに、状況は厳しい。「体力勝負になるので、まともに生き残れるのはスーパーゼネコンのみ」(外資系証券アナリスト)というのが実情だ。エリアや分野が異なるゼネコン同士の合従連衡など、否応無しに淘汰の火ぶたが切られる。すでにみらい建設グループが民事再生法を申請する一方、大和ハウス工業が小田急建設に資本参加、日特建設が不動テトラとフェニックス・キャピタルの出資を仰ぐなど、中堅クラスで再編への動きが活発化している。
 とりあえず注目されるのが、大末建設と新井組。旧三和銀行の子会社的存在だった大末は、メーンバンクの三菱東京UFJ銀行が「短期借入金の期日前返済と担保の追加を迫った」(金融関係者)ことから分かるように支援態勢は脆弱。さらに筆頭株主の大東建託の身売りが具体化したことで事態は急を告げている。新井組は、鴻池組との提携を解消、事業者向けローンのNISグループ(旧ニッシン)が筆頭株主に収まっているが、そのNISが経営難から米投資ファンド・TPGの支援を受けたことで、先行きが不透明になっている。このほか不適切な会計処理が発覚した北陸のトップゼネコン真柄建設、東証2部の井上工業、大証2部の平和奥田の動向にも注目が集まる。
 さらに見逃せないのが、五洋建設、東洋建設、東亜建設工業、若築建設などの海洋土木、いわゆるマリコンの行方。「6000億円プロジェクトの羽田空港新滑走路工事を最後に、海洋土木事業は急速に萎んでいく。縮小するパイを分け合うのはどう考えても不可能」(大手ゼネコン幹部)で、まずはマリコンが2グループに再編成されるというスキームが有力視されている。最大手の五洋は1200億円にのぼる借入金が重い。三菱東京UFJがメーンの東洋建設は前田建設工業が筆頭株主だが、これとて信用補完の域を出ることはない。三井住友がメーンの若築建設も、みらい建設グループなどに約2億7000万円の不良債権が発生、財務体質はさらに脆弱化している。すでに中堅マリコンの佐伯建設工業と国土総合建設の経営統合が決まっており、マリコン再編は当面の焦点になりそうだ。(後略)

 

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