記事(一部抜粋):2007年12月掲載

経 済

積み上がる銀行の不良債権

年内にも「大手」に激震か【金融ジャーナリスト匿名座談会】

(前略)
A 中堅消費者金融のクレディアが民事再生法を申請して倒産したが、まだ続くだろうね。
B 企業融資や不動産融資をやっているNISグループが火の車になっている。資金繰りが厳しくなり、苦し紛れに米系の投資ファンドに増資を引き受けてもらうらしいが、あのファンドはセコイことで有名。恐らくNISグループは後々さらに辛い立場に立つだろう。もっといい増資の引き受け手をみつければよかったのにね。
C まったくね。あのファンドは引き受けた株式を短期のうちに転売するので有名だ。NISグループの株式もおそらく、転売される。事実上の買収となる気がする。
A そのほかの中堅クラスの消費者金融、事業金融にも倒産予備軍がひしめいている。こうなってくると、彼らは新規貸付を一切やらなくなる。借り手は資金を得られず、資金繰りの悪化から倒産の危機に瀕する。もうすぐ、そうした負の連鎖の動きが本格化するだろう。
B 地方では始まっているよ。中小・零細企業の倒産が増えている。地方経済は冷え込むばかりだ。そろそろ、都市部でもその傾向がはっきりと出てくるだろう。
C 貸金業法は金利の引き下げだけに止めておけばよかったと思うな。年末から年明けにかけては、総量規制の影響が出始める。資金を調達できない個人事業主や零細企業がどっと増えるだろう。いったい誰がその責任を負うのかな。金融庁ははたして責任を取るんだろうか。
A まあ、すべての尻ぬぐいが銀行に集まってくることだけは間違いないね。今年度後半に不良債権がさらに増加すると見ざるを得ない要因はここにある。
B 地方では一挙に地銀の再編に拍車がかかる可能性がある。たとえば、この座談会でだいぶ前に俎上にあげた、例の前頭取の乱脈経営が露呈した東和銀行なんて、単独で生きられるんだろうか。
A 東和銀行に手を伸ばそうとしている地銀があるから、経営統合に発展する可能性はあるだろう。
C 東北でも、みちのく銀行がどうなるかが注目だ。ロシア現法をみずほコーポレート銀行に売却する話が半ば凍結状態になっている。そのうえ、どういうわけか、店舗統廃合などをやったから、地元の評判はガタ落ちらしい。北海道の北洋が興味を持っているという話があるが、もしかしたら、そういう展開になるのかもしれない。
A 地銀の間では、道州制の勉強がさかんだ。これは、道州制が導入されれば、地銀の再編は必至という考え方からだ。道州制の議論が少しでも進むようならば、地銀再編に火が付きかねない。
B 仮に、どこかの地域で道州制に関連した地銀合併が起きたら、全国的に波及することもありうるね。ただでさえ、地方経済は冷え込んでいるんだから、再編にウズウズしている地銀があっておかしくない。関東圏などは火薬庫と言えるだろう。
C 足利銀行の買い取りで拍車がかかることもある。いまのところ、野村・オリックス連合よりも、地銀連合のほうが有力だが、そうなれば関東の金融地図が変わってくる。一挙に動き出す可能性がある。現代地銀版の風林火山だ(笑)。
A 大手銀行にも不穏なムードが広がってきた。新生銀行、あおぞら銀行、りそなグループ、住友信託など、それぞれ、動き出す気配が強まっている。注意を要するね。(後略)

 

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