経 済
消費者金融「倒産」で始まる
信用収縮「負のスパイラル」【金融ジャーナリスト匿名座談会】
(前略)
A というよりも、貸金業の経営そのものが行き詰まってきた。9月14日に、中堅クラスの消費者金融会社「クレディア」が民事再生法を申請しただろう。
B あれには驚いた。いずれどこかが倒産するとは予想していたが、タイミングといい、それがクレディアだったことといい、ちょっと意外だった。
C クレディアはかつては伊藤忠商事と資本提携していたし、伊藤忠との提携が解消になって以後は、JCBが20%程度の出資をしていた。大銀行ではないが、それなりのバックボーンがついていたにもかかわらず、再生法の申請に踏み切ったというのは確かに驚きだった。
A 問題はこれからだよ。おそらく再生はうまくいかないだろう。民事再生法は新たなスポンサーに買われて、事業を再生するという方式だが、新たなスポンサーが出てくる可能性はきわめて低い。
B だろうね。過払利息返還請求の激増で利息返還費用は高止まっている。おそらくこの先、一年以上はこの状況が続くだろう。そんなリスクにまみれた企業を、誰だって迂闊には買えないよ。
C GEキャピタルがレイクの売却に動いたようだが、これもうまくいっていない。話は完全に途切れたみたいだ。
A その一件は日経新聞のミスリードというか、過剰反応で記事になったにすぎない。日経は朝日新聞に「プロミスによる三洋信販買収」のスクープを抜かれ、その直後に「GEキャピタルによるレイク売却に大手消費者金融各社が積極的に応じる姿勢」と報じた。しかし、大手各社の姿勢はとても積極的なんていえるものではなかった。日経は朝日に抜かれた腹立たしさから、レイク買収問題が緊急の出来事という雰囲気で対抗したかったのだろう。しかし、それはやりすぎというものだ。
C 日経らしい話だけどね(笑)。
B しかし純国内会社よりも与信審査が厳しかったはずのレイクでも買い手がつかないのだから、クレディアがスポンサーを探すのは並大抵のことではないね。
C 買い手が出現しなければ、会社更生法に移行するしかない。
A その通り。いまや消費者金融業界も銀行業界も、そう予想している。
B 厄介なのは、クレディアに融資している銀行だろう。債権放棄はもはや避けられない。会社更生法になれば、債権債務の処理が行われるが、クレディアの借り手から無理やり回収することはできない。改正貸金業法の趣旨からすると、債権放棄となる部分が少なくないはずだ。すると、クレディアに融資していた銀行には回収不能債権が発生する。実損失となるかどうかは、引当金を積んでいるかどうかの差だ。(後略)