高利の配当を謳って巨額の資金を集めていたエル・アンド・ジー(L&G)。昨年秋頃から一部でそのカルト的な商法が問題視されてきたが、今年に入って配当の支払いが停止したことで問題が一気に表面化。捜査当局も「出資法違反を視野に入れ、警視庁や北海道、宮城、福島の各道県警が本腰を入れている」(警視庁クラブ詰め記者)。被害者は全国で4万人以上、被害総額は1500億円にものぼるとみられ、一大詐欺事件に発展するのは必至。ちなみにL&Gの経営陣には、1970年代にマルチ商法で30万人もの被害者を出したAPOジャパンをはじめ、10年ほど前に350億円を集めた末に計画倒産した経済革命倶楽部(KKC)、今年1月に詐欺罪で摘発されたリッチランドなどの出身者が名を連ねている。まさにマルチ、詐欺商法の一大集団である。
ジェスティオン・プリヴェ・ジャポン、平成電電、リッチランド、近未来通信と、カネ余りを背景とした大型詐欺事件が相次いでいるが、こうした商法に手を染める問題業者は今も確実に増殖を続けている。
未公開株の売買仲介、私募ファンドを手掛ける某社は、個人顧客との間でトラブルが発生、いち早く姿をくらました。この業者、上場予定企業が抽選で売り出す公募株式を、元山一証券の出身で野村や大和などの大手証券にもコネがあると吹聴して売りまくっていた。現物の株式は社内に保管してあるとして投資家には明細書だけ渡し、配当も何度か行っていたという。このようにキャピタルゲインを見せ金にして個人投資家に架空の私募ファンドに出資させたり、先物商品、未公開株などを売りつける手口が横行している。
彼らは、富裕層や高齢者はもちろん、「団塊の世代も格好のターゲット」(株式ブローカー)としており、株やファンドのみならず、リゾートマンション、高級布団、健康食品などあらゆるツールを駆使しながら、虎の子の貯金や退職金を次々に騙しとっていく。たとえば国内外で20あまりのグループを形成、不動産やメディカル事業を手がけていると称する某企業は、資産をもつ高齢者を対象に健康診断を実施、健康・医療情報を一元管理する「どこでもカルテ」を作成して高額な健康食品を売りつけているという。
上限金利の引き上げで締め出されたサラ金業者も案の定、あの手この手で甘い罠を仕掛け始めた。表向き廃業したものの常連客を相手に法外な金利で貸し付けたり、借金の一括借り換えをネタに手数料を騙し取るなどのケースが頻発している。経営に行き詰まった病院を狙って「診療報酬を担保に高利のカネを貸し付け、身ぐるみ剥いで乗っ取り、それを転売して儲ける」(警察関係者)という手口で病院を食い物にしているヤミ金もある。彼らの背後には暴力団の存在があり、予想されたこととはいえ、業界のマフィア化は急速に進んでいる。
取り込み詐欺、いわゆるパクリ屋も全国を徘徊している。扱う品はパソコン、エアコンなどの電化製品から食料品、衣料品、貴金属など多岐にわたる。東北を中心に暗躍するあるグループは「取り込んだ重機を北朝鮮に密輸、取引にはマル暴も絡んでいる」(事情通)という。(後略)