記事(一部抜粋):2007年1月掲載

経 済

始まった「サラ金債権」叩き売り

【情報源】

(前略)
 グレーゾーン金利の撤廃、上限金利の引き下げ、さらには過払い金返還によって致命的な影響を受ける消費者金融業界だが、一方で「今こそ消費者金融を買い叩く絶好のチャンス」(メガバンク幹部)とばかり、水面下では貸付債権の叩き売りが始まっている。「延滞債権はタダ同然。正常債権も半値以下」(業界関係者)というバルクセール状態で、GEキャピタル系の大手業者レイクの債権さえ売りに出ているという。外資系ファンドやマル暴系企業も債権の買い漁りに動いており、貸付債権の証券化という新たな不良債権ビジネスが形成されつつあるようだ。
 貸付債権のみならず、消費者金融会社そのものの買収に乗り出す動きもある。中でも注目されるのが、東証1部上場のインターネットプロバイダー、GMOインターネット。同社は05年9月に企業再生ファンドのユニゾン・キャピタルからオリエント信販(現GMOネットカード)を約250億円で買収、金融事業へ本格参入した。06年4月にはGMOインターネット証券も立ちあげている。さらに、GMOネットカードが中小零細の消費者金融13社を買収。取得資金は300億円を超えるが、「13社の株式、営業貸付債権を担保にリーマン・ブラザーズ証券から239億円を調達している」(市場関係者)という。その結果、連結有利子負債は前期末比25倍の500億円を超え、06年12月期の連結決算は過払い返還への引き当てによって105億円もの最終赤字に転落する。今回の財務リスク覚悟の消費者金融買収は、ロイヤル信販(その後のライブドアクレジット)を買収したライブドア、国内信販(その後の楽天KC)を買収して多額の損失を抱えてしまった楽天の例を彷彿とさせる。ちなみにGMOの熊谷正寿社長は10年ほど前のインターキュー時代にダイヤルQ2事業で大儲けしたことで知られ、実父の熊谷新氏はパチンコ、ゲームセンター、貸しビル業などを手がける熊谷興業グループを経営している。
 消費者金融をめぐる動きとしては、貸付残高90億円を抱える中堅のプライム(京都府)が11月、近畿財務局から法令違反を指摘されて廃業届を提出。北尾吉孝氏率いるSBIホールディングスが同社の貸付営業債権を取得している。上場のクレディアは消費者ローンの一七八店舗をすべて廃止、インターネットを活用したビジネスモデルに変え、丸井の消費者金融子会社ゼロファーストも店舗を閉鎖、新規顧客の受け付けを停止する。札証上場で道内最大手のアースは、大胆にも消費者金融事業からの完全撤退を表明し、社員の大半が退職。(後略)

 

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