経 済
福井総裁は即刻辞任すべし
日銀内部からもブーイング【金融ジャーナリスト匿名座談会】
(前略)
A 村上ファンド問題をお咎めなしにしてくれた政府に、福井総裁はいわば借りをつくったということで、利上げに対する政治圧力が強まるだろうと懸念されたわけだが、実際には逆の作用が働いている。福井氏は、政治圧力に屈したという姿を見せないために、村上の名前が出ると利上げへ意欲を見せる。政府の圧力に屈しないのはいいんだが、それも結局、福井総裁の自己保身から出た行動で、むしろ政策判断を誤らせる懸念がある。
B そもそも福井総裁という人物は自己保身の意識が強い。かつて日銀を襲った接待スキャンダルの際、部下が逮捕される中で、当時の松下康雄総裁があっさりと辞任を決意したのに、副総裁だった福井氏は「なぜオレが辞めなければいけないのか」と地位にしがみついたのは日銀内部では知る人ぞ知る話だ。日銀よりも自分を愛し、そして自分に酔っている。(中略)A まあ、それはともかく、福井氏は副総裁を辞任した後、富士通総研の理事長に就任し、富士通の社外取締役にもなった。そして幸運にも日銀に総裁として返り咲いて以降、この富士通総研時代をひけらかすようになったんだ。「お前たちは民間での経験がないが、オレにはある」というわけだ。
B 相当のお調子乗りだね。
A その福井氏が日銀に導入したのが「民間的な組織運営」だ。富士通が導入した実力主義、組織のフラット化をそのまま日銀に持ってきた。富士通のマネをしたわけだ。
B いわゆる「日銀改革」というやつね。
C しかし日銀の仕事は、民間の実力主義、実績主義に適しているものなのか。違うと思うけどね。
A 福井総裁は、担当者たちに目標を提出させ、その進捗ぶりで評価するという方法をとったが、日銀の仕事はそもそも、そうした目標を必要とするものなのか。金融システムの担当者が「今年は銀行を三つ潰します」とか、「日銀考査で問題銀行を一〇行見つけます」という話でもないだろう。
B ほんの数年の民間経験、しかも、実際にやったのはシンクタンクの理事長であり、社外取締役だ。就職してからお払い箱になるまで民間で働き続ける者にとっては、そんな薄っぺらな経験で民間気取りするなといいたいね。そんなに民間の手法を導入したいなら、副総裁の一人は純粋民間人から選べばいいし、金融を知っている民間人に総裁になってもらえばいい。
C 話を戻すけど、組織のフラット化については、中堅幹部たちがみんな「参事役」になったという話は聞いたことがある。支店長に赴任する前も参事役、支店長から戻ってきても参事役。いまどき、そんな組織の企業はないよね。(中略)A 最近、日銀は人事異動に関連して、職員たちに希望先を申告させた。そうしたら、なんと、発券局への異動希望がゼロだった。日銀始まって以来のことだそうだ。
B 日銀券、要するにお札の発行は日銀の専管業務で、特権だ。そのために日銀が存在していると言っても過言でない。それなのに希望ゼロとはねえ(笑)。
C 福井氏による日銀組織の改正、実力主義の弊害だと言う幹部もいるね。日銀が組織としてガタガタになってきた証拠だろう。
A かつて竹中平蔵氏は、規制改革の一つとして、日銀の発券業務の民間分離を主張した。それに日銀は強く反発したが、誰も配属を希望しない場所ならば、民間委託したらいい。要するに、福井氏が発券局を重要視しないから、そうした事態になっているんだろう。
B そういえば、新札発行のとき、発券番号に稀少価値のあるお札をちょろまかした日銀職員がクビになったことがあるね。あれも福井総裁の下で起きた事件だった。(中略)B 日銀、あるいは日銀の金融政策は、福井氏の弊害を受けざるをえなくなったということだ。そのことを、福井氏はいったいどう感じているのだろうか。
C 何も感じていないんだろう。面の皮が厚そうだし。
A 前回の日銀支店長会議では、幹部たちの前で「迷惑をかけた」と言ったあとに、「私が体を張ってみなさんを守る」という意味不明発言をしているほどだからね(笑)。
B 「みんなを守るために私は辞任します」というのなら理解できるが、そうじゃないんだものね。要するに、発言のエッセンスは「続投宣言」だろう。
A 日銀の幹部も「あの発言には参った」と苦笑していたよ。
C ところで福井氏はゴルフ好きで知られている。いまも、戸塚カントリーに夫人同伴で毎週のように通っているらしい。横浜の自宅から戸塚カントリーは近いしね。
B しかし、日銀の中堅幹部以上は、テロ、災害対応のために、日銀の近くに交代制で泊まっている。単身赴任状態というわけだ。もし重大な問題が発生したら、横浜の福井氏はどうするのか。日銀に連絡することも行くこともできず、ボーっとしているのか。それとも、時間潰しに夫人とゴルフに行くのか(笑)。(後略)