(前略)
C まず米国だけど、今年は11月に中間選挙がある。「中間選挙で負けると本選挙では勝てない」というジンクスがあるから、支持率が低迷しているブッシュ陣営としては、何が何でも中間選挙を勝たなければならない。
B となると、株価を下げさせるわけにはいかないということか。
C その通り。ブッシュ政権の経済政策が間違っていないことを印象づける必要があるからね。だから、小泉よりさらに親米派の安倍政権誕生は、ブッシュ陣営が一番望んでいたことだった。
A それにドル高(維持)政策もやるだろう。それで金利を今まで何度も上げてきた。ところがあまり上げ過ぎると、今度は株価が急落してしまう。そういう観点からすると、今回の北朝鮮の核実験は米国にとっては好都合だったということ。「遠くの戦争は買い」と言われているからね。
B だけど、テポドンだかポテドンだか知らないけど、米国本土も射程内に入っているらしいじゃない。
A 前にも言ったと思うけど、インテリジェンスの世界では、核を保有している国に対して先制攻撃(敵基地攻撃)はしない。これは常識になっている。だから、北朝鮮が米国に攻撃を仕掛けることもないし、その逆もないということ。
B 日本に対してだってないんじゃないの。これだけ同胞が多いんだから。
C いやいや。「あの国は同胞のことなど考えない」と言う人もいるからわかりゃしないよ。
A いずれにせよ、この核実験の動きで一番メリットを受けるのは米国で、デメリットを受けるのは日本、中国の順。北朝鮮だってメリットはおそらくないだろう。
C 日本にはメリットはないものの、来年の参院選に向けて「北朝鮮への強硬派」と思われている安倍にはプラスに働くに違いない。それに防衛関連と輸出関連企業には、フォローの風が吹く。
A 東京マーケットは、その輸出関連株の頑張りで何とか平均株価は強張っている。ところが個別ではひどい銘柄が続出している。特にひどいのがITを中心とする新興市場銘柄だ。
B ところで、その新興市場を代表する楽天が、バッシング「第2弾」を出した『週刊新潮』を訴えたけど、それでも株価の下落は一向に止まらないね。これじゃ総理大臣の安倍との対談をベースに、楽天を注目銘柄に取り上げた日興シティグループ証券のメンツ丸潰れじゃないの。
C 雑誌の記事だけじゃなくて、9月14日に東証マザーズに上場したミクシィの影響も出たみたいだ。
A 同業だけに、楽天株からミクシィ株への乗り換えの動きが出たようだね。
C その乗り換えの動きで、楽天株は9月11日から9月14日まで4日間連続で下げとなってしまった。ミクシィ株だって上場後、大株主が持ち株を売却したため、300万円台から200万円割れに急落している。
A 公開後、会社役員・大株主・ベンチャーキャピタルなどの株主が一定期間、市場で持ち株を売却できない契約制度「ロックアップ条項」を付けていないからこういうことになるんだよ。ミクシィの初値は公募価格の2倍以上。冷し玉も出さずに初値を高くしておいて、その後で大株主が持ち株を売却するのは問題じゃないのか。
B でもミクシィは人気銘柄だったから、ロックアップが付いていたら もっと初値が高かったんじゃないの。
A だから、初値を付ける時に冷し玉として放出すればよかったんだよ。ミクシィの大株主は、ネットエイジキャピタルパートナーズ。この関連会社ネットエイジグループが東証マザーズに上場したのが8月30日のこと。ネットエイジ株もミクシィ株同様、上場翌日に153万円の高値を付けた後、50万円割れまで急落している。この株もロックアップ条項が付いていなかった。だから上場後、大株主が持ち株を売却したため、株価が急落したと言われている。
B たしかネットエイジグループの大株主に楽天社長の三木谷浩史が入っていたんじゃなかった?
C 第五位にね。ミクシィの大株主であるサイバーエージェントの藤田晋を含め、みんなヒルズ仲間。それにミクシィの役員にはネットエイジの社長・西川潔が就任している。
B 何だかライブドアや村上ファンドの人脈と重なってくる。
A この人脈を見ると、ライブドアや楽天同様、ミクシィも投資家からかき集めた資金で貸金業でもやるんじゃないのか。いつまで東証や当局はこのような会社の上場を簡単に許すのか。ライブドアの教訓がまったく生かされていないじゃないか。(後略)