記事(一部抜粋):2006年10月掲載

経 済

安倍新政権誕生で気になる楽天、ヤフー株

【証券マン・オフレコ座談会】

(前略)
A 9月1日の安倍の政権構想発表前に、詳細なレポートが日興シティの機関投資家向けに発信された。日興シティの親会社の米シティグループは、ばりばりのロックフェラーグループの中核企業で、ブッシュ政権を裏で支えている。そのシティグループの幹部の中に安倍と親しいロバート・ルービン元財務長官やハワード・ベーカー元駐日大使がいる。おそらく、安倍と藤田の接点はここだろう。
B メリットを受ける企業としてリストアップされていたのは、ヤフー、楽天などIT関連企業が多かったようだね。
C 安倍の経済政策は、「オープン」「イノベーション」「再チャレンジ」の3つに集約されると論じているからで、その「イノベーション(技術革新)」の代表はIT、特に携帯電話だと結論づけている。
A 気になるのは、そのヤフーと楽天株の動きなんだ。
B 楽天は週刊誌の記事などで、その後、株価は急落となったね。
C 《楽天、三木谷社長のXデー》との見出しを載せた『週刊新潮』(9月7日号)が発売されたのが8月31日。前日からその噂が広まって、30日には5000円安のストップ安で売り物を残した。
B 『新潮』の記事のコピーまで出回ったと言われているね。
A 悪い記事を書いたのは新潮だけじゃない。『選択』9月号も《楽天に「経営危機」説》という記事を載せている。『東京スポーツ』に至っては《9月4日、逮捕説》だ。
B なぜか先の単行本で楽天が注目銘柄に取り上げられた途端、楽天バッシングが始まったわけだ。
A 後というより、前後と言うのが正しい。それにヤフー株もおかしい。注目銘柄に上げられたあたりから、株価が約2割急落している。
C それはヤフーの筆頭株主であるソフトバンクのレーティング引き下げが影響したんだろう。まず8月24日、リーマン・ブラザーズがソフトバンクの目標株価を1125円から900円に引き下げた。次にクレディ・スイス証券が投資判断を「ニュートラル」から「アンダーパフォーム」、目標株価を2620円から1340円に引き下げた。
B リーマンと言えば、2000年のIT相場の際、ソフトバンクの目標株価を異常に引き上げて20万円近い超高値を付けた張本人じゃない。
A それだけじゃない。9月8日付『英フィナンシャル・タイムズ』が、社長の孫正義が保有するソフトバンク株が、同社の資金調達の担保となっていると連想させる記事を掲載している。これらすべてが外資による発信である点が注目だ。
C リーマンはニッポン放送の買収資金をMSCB(下方修正付転換社債)の形で提供していた。何だか、森・小泉に続いて安倍政権となれば、ますます外資に振り回されることになりそうだ。
A 元首相の森喜朗がITの旗振り役だったことは論を俟たない。次の小泉純一郎でホリエモン(ライブドア元社長・堀江貴文)と村上世彰を時代の寵児に祭り上げ、その後ハシゴを外すこともやった。これはあくまでも想像だが、安倍新政権はIT関連株を安くスタートさせて、その後、森・小泉のように「イノベーション」の名の下にIT振興策を採るんじゃないのか。
B ところで、政界にまで当局の手が伸びると言われている水谷建設事件だけど、9月8日、福島県知事の佐藤栄佐久の支援者で、談合の仕切り役とされる県内大手の建設会社・佐藤工業社長の佐藤勝三が逮捕されたね。やはり当局は政界ルートをあきらめていないんだろうか。
C 守り側に大物地検OBもいて、なかなか贈収賄のカベを切り崩すのは難しいと言われている。
A それに、東急建設の東北支店長の自殺に続いて、福島県経済界の重鎮、ヨークベニマルの元社長の大高善二郎が九月九日、心不全で急死した。
C 大高はもともと心臓が悪かったと言われているよ。
A それが「良くなった」といって、韓国のカジノに姿を見せていた。
B まさか、あのカジノじゃ。
A そう。水谷建設会長の水谷功が通っていたといわれるウォーカーヒルズ。大高は常連客の一人だったんだ。それに大高は、水谷建設がリベートを払ったとされる行政問題研究所のオーナー竹内陽一と接点があったようだし、何かひっかかる。
C 竹内陽一って「大同ほくさん(現エア・ウォーター)社長解任事件」で名前が出てきた人物でしょ。
A その通り。
B 社長解任事件?
C 大同ほくさんの社長(当時)の水島茂が、「特定株主」から不当に高く絵画を購入したのは特別背任にあたるとして、会長と副社長を刑事告発。その告発を受けた役員らが、逆に取締役会の全員一致で水島を解任したという事件。この「特定株主」というのが竹内のことらしい。
A 注目は、竹内がこの模写絵画をユダヤ人の絵画ブローカーから仕入れたといわれているんだけど、その売り手が米ブッシュ大統領の親族だと噂されたこと。この親族は教育に関するIT化の売り込みに、日本に何度も訪れていたと言われている。
B ここでもまたITか。ITでも何でも、市場を活性化する政策なら歓迎するよ。
(後略)

 

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