記事(一部抜粋):2006年8月掲載

経 済

いよいよ危険水域「楽天」の試練

【情報源】

(前略)特捜部の秋以降のスケジュールが気になるところだが、「次は楽天かオリックス」という見方がもっぱら。たしかに楽天によるTBS株買い占めは、村上ファンドとライブドアが組んだニッポン放送株買い占めの構図と酷似しており、当局が楽天に次の照準を合わせたとしても不思議ではない。「村上ファンドと楽天の間でインサイダー取引に抵触するような売買があった」という説もしきりに囁かれている。
(中略)
 そうした中、気になるのが日本振興銀行の木村剛前代表の去就だ。同氏をめぐっては、親族企業への情実融資、銀行免許取得にからむ不透明なコンサルタント料の受領など様々な疑惑が囁かれてきた。さらに同行と経営不振の事業者金融イッコーが相互に第三者割当増資を引き受け合うという不可解な資金のやり取りが発覚。そのイッコーの親会社でる全国保証は東京国税局の税務調査を受けた際、自民党議員らに800万円の現金を渡したことが明らかになっている。
 木村氏は竹中平蔵総務相と親密な関係にあったことから、当局としては手を出しにくい相手とされてきたが、竹中氏の影響力がここにきて急低下、まして九月以降は一切の障害がなくなるとあって、木村氏にいよいよ捜査のメスが入るのではとの観測が流れている。
「但木新検事総長も前任の松尾邦弘氏同様、企業犯罪、コンプライアンス違反の摘発を最大のテーマに位置づけている」(司法記者)だけに、夏休み以降、一連の経済事件がどんな展開をみせるか注目される。
 一方、楽天に関しては、事件化とは別に経営危機説が急浮上している。1100億円という巨額のカネをつぎ込んだTBSとの経営統合交渉は依然として暗礁に乗り上げたまま。その間に保有するTBS株が急落、多額の含み損が発生しており、交渉の落とし所次第では膨大な損失を被りかねない。
 さらに中核事業の「楽天市場」にも異変が生じている。当初は年間60万円だった加盟店への課金をシステム変更を理由に増額したため、業者の退店が続出。一方で新規出店は今年1-3月期が1460と前期の2126から激減した。偽ブランドの販売などによるユーザーとのトラブルも頻発しているといい、今後、楽天市場の収益が下降局面に入るようだと、経営に及ぼす影響は測りしれない。ちなみに出店料の一方的な値上げついては「公正取引委員会が関心を持っている」(業界関係者)という。大金をはたいて買収した楽天KC、楽天クレジットが今後のグレーゾーン金利撤廃で致命的な打撃を受けるのも大きな痛手。(後略)

 

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