記事(一部抜粋):2006年6月掲載

経 済

始まったミニバブルの後始末 息をひそめる株の錬金術師たち

【証券マン・オフレコ座談会】

(前略)
A 村上は官僚出身だけに、お上の動きには敏感なはず。だから、村上はミニバブルが終わったサインを微妙に感じ取ったんじゃないだろうか。
B ミニバブルが終わったサイン?
C 不動産投信に対する規制(ヒアリング)のことでしょ。5月7日付の毎日新聞だけが載せたけど、他紙はその後も黙殺した。日経に至っては逆に5月9日付夕刊に「不動産投信資産4兆円に」と煽るような記事を載せている。
A そうなんだ。小泉政権の「官から民へ」との言葉で皆ごまかされているけど、小泉政権の5年間で官僚支配は逆に強まっている。それも財務省の復権が著しい。だから増税路線へ舵が切られているんだ。その金融庁がヒアリングを始めたというのはただごとではない。
B 不動産がダメだとしても石油や金などのエネルギー関連があるじゃないか。
C ところが、プーチン大統領が「世界のエネルギー需給を緩和させる」との名目で、東シベリア石油パイプラインの敷設工事にゴーサインを出した。ロシアは世界最大の産油国で、掘れば石油はいくらでもある。ただ、パイプラインが老朽化していて石油が送れなかった。だから、石油の需給のカギはロシアのパイプラインの敷設が握っていた。
B ということは、不動産に続いてエネルギー関連の柱である石油もピークアウトしたということか。
A そうやって株式市場は1つ2つと柱を失いつつある。これが今の株式市場の現状だ。だから株式の下げがキツくなってきたんだろう。パイプラインのニュースは大型連休前で、不動産投信は連休終盤。いわばゴールデンウィークを境に潮目が変わったってこと。
C というより、先のミニ地方統一選挙で小泉自民党が小沢民主党に大敗したのが大きいような気がする。中国がスズ、マグネシウム、銅、タングステンなどの輸出抑制に動き出したのも連動しているのかも知れない。経済同友会が小泉首相に、靖国参拝自粛を要請したのは、これらの金属のほとんどを中国産に頼っているからだ。ほうっておくと、こうした金属を利用する自動車やコンピュータメーカーはかなりのコストアップになってしまう。
B 中国が小泉政権打倒のために、兵糧攻めを始めたってわけか。この大事な時に小泉ときたら、アフリカに外遊してODA(政府開発援助)の大盤振舞い。
A それはブッシュ政権の指示なんじゃないの。中国の胡錦涛主席は四月末に、サウジアラビア、モロッコ、ナイジェリア、ケニアを公式訪問した。これは石油とウラン(原子力)を確保する資源外交と見られている。それを阻止するために日本がどれだけ、アフリカに影響力を保持できるか。いわゆる「鞘当て」外交ってこと。
C 鞘当てはいいんだけど、外遊に同行してた参院議員の鈴木政二(森派)が妙に目立っていたのが気になる。まさか、鞘当ての見返りにODAのキックバックをもらう手筈じゃないだろうね。
B 「野口英世賞」を創設するヒマがあったら、日本も資源外交をやればいいのに。
A それをやった田中角栄は、金脈問題とロッキード事件で潰された。ブッシュ政権の言いなりの小泉に、そんなことができるはずがない。
B 話は変わるけど、昨年の長者番付で日本一(推定年収100億円)になった清原達郎が運用部長を務めるタワー投資顧問が、あのエイチ・エス証券の株を相当買い集めているらしいね。なぜ、ライブドア絡みで副社長の野口英昭が自殺した証券会社の株を買うんだろうか。
C 「ニセメール事件」で民主党をガタガタにした前原誠司の奥さんは、エイチ・エス証券代表・澤田秀雄の秘書をやっていたとの噂だ。
A ドン・キホーテが買い占めていたオリジン東秀株問題も、最終的にイオンがTOB(公開買い付け)することで決着が付いたけど、このTOBで一番儲けたのはドン・キよりも安値で買っていたタワー投資顧問だろう。どうも同じ動きに思えてならない。エイチ・エス証券も、どこかの大手が買うんじゃないのか。
(後略)

 

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