(前略)地価の高騰に沸く東京都心部。とある超一等地に、虫食い状態の空き地がある。不動産謄本をみると、所有権がわずか1カ月の間にめまぐるしく移転している。文字どおりの土地転がし、地上げ屋の復活である。
いま都心の一等地では、不動産ファンド向け案件を中心に地上げ屋が暗躍し、「暴力団系の不動産業者がペーパーカンパニーを設立、地上げ後に物件をつくるケースもある」(大手デベロッパー幹部)という。まさに狂乱のバブルさながらの光景。局地的な「不動産ファンド・バブル」に乗じて、巨額のアングラマネーが闊歩しているわけだ。
未公開株をめぐるトラブルも続出している。多額のキャピタルゲインをセールストークに、富裕層を相手に未公開株の購入を勧める怪しげな輩が跋扈しているのだ。手口は、?購入代金と引き換えに、偽の株券や預かり証を送りつける、?某大手業者にみられるように、本物の株券には違いないが法外な高値で売り付ける、?そもそも上場予定がないケース、など様々。「1株50万円が相場」だという。対象となる銘柄も、事件化した大塚製薬、アース製薬のほか、YKK、リクルートといった有名企業から中堅・中小企業、中にはほとんど実態のないITベンチャーまで、枚挙に暇がない。
実は、未公開株の販売を謳っている問題業者の多くが、「外国為替証拠金取引でトラブルを起こした過去をもっている」(警察関係者)という。こうして荒稼ぎしたカネが暴力団の資金源になっているのは間違いない。
会社分割を悪用した大掛かりな取り込み詐欺グループの存在も見逃せない。たとえば都内のマンションの一室に登記されたA社。会社謄本の役員欄には新旧含めて10人以上が名を連ねているが、その大半が詐欺を働いたり、会社を倒産させるなどの前歴をもっている。そして驚くべきは、A社がなんと13もの法人に分割されていることだ。謄本の「会社分割」欄に、それらの社名、住所が記されている。
さらにこの13社の謄本を追っていくと、同様の手口でそれぞれが10社を超える会社分割を行っている。このようにネズミ講的に増殖するペーパーカンパニーを使って、パソコンなどの家電製品や日用品の取り込み詐欺を行っているというのだ。(後略)