(前略)ベテラン議員の戦術は、派閥単位で締め付けて安倍支持勢力を少数派に追い込み、そのうえで安倍に出馬を断念させるというもの。この作戦の要は安倍が所属する党内最大派閥、森派の動向である。同派は安倍支持と元官房長官の福田康夫支持に二分されているとされ、現状では、安倍支持が政調会長の中川秀直と若手、福田支持は前首相の森喜朗とベテラン議員という構図だ。
そこで、実力者の中で唯一、安倍支持を打ち出している中川に注目が集まる。もし中川が土壇場で立場を変えれば、森派は福田支持でほぼ固まり、安倍の出馬が困難になる可能性が濃厚だからだ。
中川が兄貴分の森と対立したまま安倍を担ぎ続けるとは、2人の長い過去を知る関係者は誰も思っていない。2人はあうんの呼吸で役割分担をしているに違いないと思っている。何のために? どう転んでも同派が負け組にならないためにだ。
中川は経産相の二階俊博に続いて2月下旬に中国を訪問し、李長春共産党政治局常務委員ら幹部と会談した。表向きの訪中理由は別にして、二階、中川の共通する目的が年間2000億円にのぼるODA(政府開発援助)の使途であることは、関係者なら知っている。オリンピックが開催される2008年には打ち切るため、この利権も残り2年。中川は中共幹部とこの資金配分を共通の利益に基づいて相談する自民党側のパイプ役だ。
その中川が中国に対する強硬姿勢を貫こうとする安倍を最後まで支持するとはとても思えない。(後略)