記事(一部抜粋):2006年2月掲載

経 済

2006年は「電機再編元年」

【情報源】

「2006年は電機再編元年になるかもしれない」(大手銀行幹部)
 日本の基幹産業である電機業界。その再編の火ぶたが切られようとしている。頼みのデジタル家電は年率3割を超える価格下落が続き、海外市場では韓国サムスン電子などの攻勢で苦戦が続いている。半導体や液晶パネルの開発・設備投資競争での海外メーカーとの体力格差は歴然で、いまや「生き残れる日本の総合電機メーカーはごく一握り」(経済産業省幹部)という正念場にある。
 日本の電機メーカーはここ10年余り、特定分野に経営資源を集中させ、事業の統廃合や合弁会社設立など事業単位の合従連衡を進めてきた。それでもいまだに総花的な経営から脱しきれていないのが実情だ。総合電機大手11社の売上高合計は約50兆円。従業員は全世界で160万人に達するにもかかわらず、合計の純利益はわずか3000億円足らずと、韓国サムスン電子1社の半分にも満たない。日本の電機業界がグローバルスタンダードに近づくためには、「総合」の看板を降ろす覚悟の「大がかりな解体」がもはや避けられないのである。
 あのソニーでさえ、いまやブランド力、商品開発力の凋落は目を覆うばかり。日立製作所も不振のデジタル事業(液晶、薄型テレビ、HDD)の縮小・撤退に躊躇するなら「負け組」への転落がないとはいえない。世界シェアでトップの製品を持たない東芝にしても、巨額の投資に失敗すれば一気に存亡の危機にさらされかねない。日本代表クラスでさえも「現在のままの姿での生き残りは難しい」(アナリスト)のだ。
 生き残りの条件は、松下電器産業やシャープのようにダントツのトップシェア商品をもっていること、もしくは海外生産に特化する船井電機のように強固なコスト競争力をもっていること。そこで再編シナリオを予想すると、買収サイドの台風の目になりそうなのは、韓国サムスン電子、中国ハイアールなどの外資と松下電器、船井電機。そして大穴が、テレビ事業に進出したものの予想外の苦戦が続くキヤノンだ。(後略)

 

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