衆院選に圧勝した小泉純一郎は、特別国会で郵政民営化法案を成立させた後、国会終了後の11月初めに内閣改造と自民党役員人事を行う。この改造・人事がポスト小泉に決定的な意味をもつ。
小泉は自民党内少数派だった自分がなぜ首相になり、今回の衆院選で圧勝できたか、その理由をよく分かっている。永田町の数の論理でなく、改革を唱えることで国民の支持を得たからだ。だから一部のマスコミが勘違いしているような、永田町的後継指名を行う考えはまったくない。
来年9月の自民党総裁選まで約11カ月、その間に小泉改革路線の継承者として浮上した者がすなわちポスト小泉なのだ。誰が改革を引き継ぐにふさわしいかを決めるのは小泉ではなく、国民の目だ。ただ、国民にアピールするのにふさわしいポストというのは当然ある。今回の改造・人事では明らかに小泉の代弁者の地位となる官房長官がそれだ。
小泉政権は郵政民営化に続き、行政改革、地方自治推進のいわゆる「三位一体」改革などの内政課題、加えて自衛隊のイラク駐留延長や在日米軍再編問題、対中国、北朝鮮など難しい外交関係に取り組まねばならない。その中心となるのは党ではなく首相官邸だ。政策の調整や国民への説明役となる政権全体の要は、かつてのような自民党幹事長ではなく官房長官ということになる。
「これだけ国民の支持があるのだから、延長論は理解できる」。財務相の谷垣禎一は衆院選後の記者会見で小泉の自民党総裁任期延長に触れてゴマをすった。経済産業相の中川昭一も「首相を続けてもらいたい。リーダーとしてついていきやすい」と小泉を絶賛してみせた。両者ともポスト小泉の一角、できれば官房長官に抜擢されたい。これまでのように財務相、外相など主要閣僚が政権への近道ではないことを知っている。
では小泉はどういう基準で官房長官を選ぶだろうか。キーワードは「若返り」「女性の支持」、そして「飯島」といえそうだ。
今回の衆院選で自民党議員の平均年齢は53.3歳に若返った。民主党は43歳の前原誠司を代表に選んだ。当然ながら小泉政権のスポークスマンである官房長官には若い印象が必要となる。ならばポスト小泉候補とされる中で69歳の福田康夫、64歳の麻生太郎、60歳の谷垣は失格。現官房長官の細田博之も61歳でダメ、合格は50歳の安倍晋三。つけ加えるなら郵政民営化造反派の小林興起を落選させた刺客で、53歳でも独身のせいかまだ若く見える小池百合子だろう。(後略)