記事(一部抜粋):2005年9月掲載

政 治

ポスト小泉は安倍か麻生

旧実力者の挫折で権力構造が激変【永田町25時】

「たとえ当選してきても、あの人たちはもう終わり」
 首相秘書官の飯島勲がそう周辺に吹聴している。「あの人たち」とは、郵政民営化法案をつぶして小泉政権打倒をねらったベテラン議員のこと。首相の衆院解散の一刀で、見事に切り捨てられたという指摘だ。
 飯島の言動は尊大で反発をかう。だが、その認識は正しいと永田町のほとんどが思っている。綿貫民輔、亀井静香、平沼赳夫、古賀誠、堀内光雄、高村正彦らは政局を読み誤った。たとえ当選して永田町に戻っても、もはや以前のような影響力は持ちえない。選挙後の永田町は、これまでの実力者の政治的な挫折で様相が一変するのは確実だ。
 綿貫はもともとは郵政族ではなく、民営化反対が信念というわけではなかった。2003年10月の総選挙に出馬しなかった野中広務に「名前だけ貸してほしい」と頼まれて自民党郵政事業懇話会の会長を引き受けた。軽い気持ちだった。
 それが今回の騒動では熊野牛王の神符を持ち出して血判を求めるところまでエスカレートした。民営化反対の盟主となることで、参院のボスである青木幹雄を凌駕して、「反対派の多い旧橋本派のボスに君臨できると勘違い」(周辺)したのだ。
 綿貫の誤算は「公明党が反対するから小泉に解散なんかできっこない」という亀井の言葉を信じたことだ。解散できずに小泉が退陣すれば、次の総裁選びで旧橋本派は主導権を握ることができ、綿貫はキングメーカーになれる。そう夢見た。だから昔の仲間である民主党副代表の小沢一郎に連絡をとり、小泉追い落としの具体策の相談までした。
 亀井の言動に惑わされたのは、平沼、古賀、堀内、高村らも同じだ。ただこの4人が綿貫と違うのは「解散の場合は石原慎太郎を担いで新党を旗揚げする」という次の段取りまで亀井から聞かされていたことだ。
 石原新党なら選挙後の政局を左右できる議席の確保が可能であり、首相選任のキャスティングボードを握れる。次期政権の実権グループになれると考えた。平沼はそれが自分の首相への近道だと思った。だが、「絶対に説得する」という亀井の言葉は空振り、石原は「勝手にやってくれ」と冷たく突き放した。(後略)

 

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