記事(一部抜粋):2005年7月掲載

経 済

悪材料で売られた株を拾う

錬金術には情報操作が不可欠【証券マンオフレコ座談会】

B 村上ファンド(村上世彰)が上場廃止となったカネボウの大株主になっていたことが判明したね。
C 取引最終日の翌日(6月11日)、読売新聞が朝刊1面でスクープしたんだけど、この最終取引日の翌日スクープっていうのが引っかかる。それまでは悪材料ばかり報道しておいて、いざ上場廃止となったとたん、今度は好材料ばかり。6月14日付の日経は《カネボウ前期有価証券報告書、トーマツが「適正」で意見》という記事を載せていた。
A 読売の記事を見ると「関係者の話によると」となっているから、リーク情報ということだろう。これでは、悪材料のオンパレードで一般投資家が投げ売りしたのを、村上ファンドが拾っていたということになる。こういう動きを見ると、なぜ、錬金術師のホリエモン(ライブドア社長・堀江貴文)がマスメディアを傘下にしたがったのか、わかる気がするよ。
B 特に錬金術には情報操作が必要不可欠ということか。
A その最たるものが「記者クラブ制度」。こんな制度があるから記者の質が落ちてしまう。「特オチ」を問題視するメディアの体質を改めないとダメなんじゃないか。
B ところで株集めといえば、中堅証券会社ばかりを買い集めていたプリヴェチューリッヒの動きはその後、どうなったんだろうか。
C 関連の投資会社に、高木、いちよし、東洋、丸三、水戸の五証券の株式を売却したと言ってるけど、おそらくその投資会社はもう持ってないんじゃないの。
B だけど、それなら大量保有報告書の届出義務(5%ルール)が生じるはずだけど。
C 発行済株式数の5%を超えないように数社の投資会社に分散すれば、報告の義務はなくなる。新しく出た『会社四季報』を見てごらん。5社の株主を見ても、どこにもプリヴェ関連投資会社の名前はない。
A 唯一、野村系の高木の第6位にプリヴェが入っているだけだ。おそらく、プリヴェは野村と関係が深いようだから、この高木や、同じ野村系のいちよしに絡んでくるんじゃないかな。
B そう言えば、長者番付日本一になったタワー投資顧問の運用部長・清原達郎も野村出身で、プリヴェの株で儲けたらしいね。プリヴェの社長・松村謙三自身が、清原が株を買ってくれた経緯をネット上で語っていた。ところがその記事が1カ月もたたないうちに削除されてしまったんだ。
C 清原がプリヴェ株をいくらで買って、いくらで売ったか知らないけど、同社株は当時、街の投資顧問や仕手筋が一斉に推奨し、一般投資家が900円から1000円超えで大量につかまされた銘柄。それに絡んでいろんな噂が流れていたから、マズイと思ったんじゃないの。
B いちよしトップの武樋政司って、大田淵(野村証券元会長、田淵節也)の秘書じゃなかった?。
A そう。確か秘書室長だったと思う。その関係からいちよし社長に就任したんだろう。もしかすると、プリヴェはいちよしの買収を諦めていないんじゃないかな。
C それも結構だけど、プリヴェの株主にすれば「他社の再生よりも、プリヴェ株の再生をやってよ」という気持ちだと思うよ。
B 企業再生といえば、事実上倒産したヤシカや三田工業を支援し再生させた京セラの創業者・稲盛和夫が取締役を退任したね。
C 良い意味でも悪い意味でも、色々と話題の多い人物だったね。
A 大半の役職から退くというから、あの人の役割が終わったってことだろう。稲盛が育てた千本倖生率いるイー・アクセスもブロードバンド普及の役目を終えたような感じだし。案外、稲盛の後はキョウデンの会長・橋本浩が引き継ぐんじゃないかな。(後略)

 

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